皆さんこんにちは。株式会社プロストイックです。
本日は最近急増している「静かな退職」の方や「逆パワハラをされているかも?と思う管理職の方」必見の内容となっています。
会社員として努めている方は一度は絶対に目を通しておきたい内容となっているので目次で気になる箇所だけでも読むことをおすすめします。
- 静かな退職について聞いたことがあるけど、詳細を知らない
- 今の会社で昇進・昇給の見通しがない
- 今の会社で働くモチベーションが上がらない
当サイトでは上司のマネジメント系に関する悩みの記事が非常に多く読まれています。人事など向けではなく、現場の管理職に多く読んでいただいている内容となっております。
近年急増している静かな退職とは
近年、職場で表面上は働いているように見せかけながら、実質的には仕事に対しての意欲を失っている「静かな退職(Quiet Quitting)」が急増しています。
特にコロナ禍以降、働き方や価値観が大きく変化したことが背景にあり、従業員が積極的に辞めることなく、やるべき最低限の業務だけを淡々とこなす姿が目立つようになりました。
この動きは従来の「退職」とは違い、表面上は組織にとどまっているため、上司や管理職にとっては気づきにくく、対応が難しいという特徴を持ちます。
キャリアの序盤にしてすでに熱意を失い、いわゆる“働いてるフリ”を選ぶその背景には、単なる怠惰では片づけられない深刻な課題が潜んでいます。
ちなみに「静かな退職」(Quiet Quitting)というのはアメリカを中心に広まった言葉のようで、やりがいや会社での昇給・昇進などを追い求めず、最低限求められた業務だけをこなす働き方のことです。欧州ではすでにこの静かな退職というより「仕事は仕事」という考え方が広がっており、その波が米国、日本の若者にも広がってきているようです。
特に20代の若者の間で流行・蔓延している

静かな退職が最も顕著に現れているのはまさに今の20代です。
SNSや匿名掲示板などを覗けば、「最低限だけ働いて、あとは自己投資」「評価されないなら頑張らないのが賢い」といった声が日常的に見られます。
彼らにとって、会社はもはや人生を捧げる場ではなく、生活を維持するための“通過点”として捉えられています。
Z世代と呼ばれるこの世代の若者は上司の背中を見て育つような昭和的価値観とは異なり、自分の時間や心の健康を最優先する傾向が強いです。
過剰な残業や無意味な会議に価値を見出さず、「必要以上に頑張っても報われない」という実感が静かな退職への共感を加速させています。
実際、リモートワークの普及もこの流れを後押ししており、上司の目が届きにくい環境では、働いているように見せながらも、実際には最低限の業務しか行っていないというケースも珍しくありません。
このように、20代の若者の間で静かな退職が広がる背景には企業文化や評価制度への不信、自己実現とのギャップ、そして将来への不安など、複合的な要因が絡んでいます。
単に「やる気がない若者」と一刀両断するのではなく、彼らの価値観に寄り添い、何が根本的な問題なのかを探ることが、企業側に求められています。
会社の中では本当に窓際族
かつて「窓際族」と言えば長年勤めた末に職場での役割を失った中高年層を指す言葉でした。
しかし今、その立場にいるのが、20代の若者たちです。新入社員として入社して間もないのに、すでに「存在感が薄い」「仕事を任されない」「評価される気配がない」といった現状に直面し、自ら進んで静かな退職の道を選んでいるのです。
例えば、自動車系の事業会社に勤める25歳の男性は、上司からのフィードバックもなく、意味のある業務も与えられない日々に疲弊し、いつしか最低限の仕事だけこなすようになったと言います。(会社の特長として規模が大きく「人が稼働しなくても商品が流通して勝手にお金を稼いでくれるという仕組みが作れているモデルのビジネス会社がそういった傾向にあるようです。)
「仕事はあるけど、やりがいも成長もない」と感じた時、人は自然と努力をやめてしまいます。そしてその状態が長く続くほど、本人も上司もその“停滞”を放置してしまうのです。
管理職や上司の視点では「最近の若者は覇気がない」「指示待ちだ」と感じるかもしれません。
しかし、それは組織が彼らに対して適切なフィードバックや成長機会を与えてこなかったことの裏返しでもあります。
若者の静かな退職を防ぐには、彼らを“育てる対象”として捉えるだけでは不十分で、彼らを“共に働く仲間”としてどう巻き込むかがカギになります。
“働いてるフリ”は戦略か、それとも諦めか
“働いてるフリ”は、ただの怠けではありません。
それは、職場における戦略的撤退であり、自己防衛でもあります。例えば、評価が不透明で、がんばっても報われない環境に身を置いていると、人は「無理をする意味がない」と判断します。
そんなときに選ばれるのが、「働いてるように見せて、リスクを最小限にする」という生存戦略なのです。
一方で、これは希望を失った結果の“諦め”でもあります。自己肯定感が低下し、「どうせ自分なんか必要とされていない」と感じている若者にとっては、静かな退職は一種の逃避行動です。特に、上司とのコミュニケーションが乏しく、何をしても反応が返ってこないような職場では、モチベーションが保てるはずもありません。
“働いてるフリ”をする20代の若者たちは、無気力なわけではありません。本来は情熱も能力もあるのに、それを活かせる場が与えられていないだけです。
(これは会社側の意見(モチベーションなんて自分で作るものだし給与もらってるんだから働け)、若者側の意見(なら未来に対して明るいキャリアとして頑張れば給与が上がるとか昇進すれば待遇が良くなるなどを提示してくれ)両方ともそれぞれの持論があるので、どちらが正しい、どちらが間違っているという話ではなく構造的な問題が潜んでいるのです。
この構造的な問題を解決するには上司や管理職が従来のマネジメント手法を見直し、一人ひとりの声に耳を傾ける必要があります。
静かな退職という現象は決して他人事ではなく、組織全体の在り方を問い直す鏡のような存在です。
静かな退職を選ぶ20代若者たちの本音

「やる気がない」「最近の若者は指示待ち」——そんな一言で片付けられがちな20代の静かな退職。
しかし、その内側にはもっと切実で現実的な理由があります。表面的には“働いてるフリ”に見える行動の裏には、理不尽への抵抗、疲労の蓄積、そして期待を裏切られ続けた経験が詰まっています。
静かな退職はただの怠惰や逃避ではなく、自分の人生と向き合った末の「静かな決断」なのです。
彼らは何に不満を感じ、どこに限界を感じているのか。
そしてなぜ、それでも会社を辞めずに“残る”という選択をしているのか。
ここからは静かな退職に踏み切る20代若者たちのリアルな本音を掘り下げていきます。
頑張っても給与が上がらない実態

20代の若者が静かな退職を選ぶ理由としてまず挙げられるのが、「努力と報酬の不均衡」です。
どれだけ頑張っても給与が上がらず、昇進のチャンスも不透明なまま。
成果主義を掲げながらも実際には年功序列や上司との相性で評価が決まるという現実に、多くの若者が不信感を抱いています。
逆に、何もしていないベテラン社員が毎年安定して昇給していく姿を見て「もう頑張るのをやめよう」と静かに決めた若者もいるそうです。
こうした経験が積み重なると、モチベーションが削がれていくのは当然です。
静かな退職はがんばることに見返りがないと理解したときに、20代の若者が取る一つの“自衛手段”となってしまいます。
彼らにとって「評価されない場所」で身を削る意味はもはやありません。
給料以上のことはしないという価値観
「給料以上の仕事はしない」——多くのメディアでも報道がされているのですが、この言葉に強く共感する20代が増えています。
これは今の20代にとって決してわがままではなく、現代の若者なりの合理的な判断であり、生き方の哲学でもあるようです。
彼らは、自分のリソースを何にどれだけ使うかを常に考えていて、「時間=人生」として捉えています。
例えば定時後の無報酬な資料作成、休日出勤、曖昧な役割の押しつけ。
これらに対して「それは契約に含まれていない」と感じるのは、ごく自然なことです。むしろ、曖昧な業務を押しつける企業側に問題があると捉えているのです。
20代の若者は組織の一員である前に一人の人間であり、自分の人生を守るためのラインを自分で引いているのです。
彼らは「全力で会社に尽くすこと=正義」だとは思っていません。だからこそ、静かな退職という行動に、迷いなく踏み切るのです。
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指示待ちではなく、“あえて動かない”という選択
「最近の若者は指示待ちだ」と嘆く管理職は多いですが、それは誤解です。
彼らは“何も考えていない”のではなく、“あえて動かない”という選択をしています。なぜなら、動いても評価されない、あるいは余計なリスクや責任だけが増えるからです。
特に20代の若者は上司や組織の対応をよく見ています。
提案しても却下される、改善案を出しても放置される、むしろ目立つことで煙たがられる——そんな経験を重ねれば、「余計なことはしない方が安全だ」と考えるようになるのは自然な流れです。
つまり、静かな退職をしている若者は決して能力がないわけでも、やる気がないわけでもありません。
むしろ、「今の環境では動く方が損」という冷静な判断をしているのです。上司や管理職がこの構造を理解しないままでは、どんなに声をかけても若者たちは心を開きません。
企業にとっての静かな退職のダメージとリスク

静かな退職はただの“個人のやる気の問題”ではありません。
それは、企業全体の士気や組織運営に深刻なダメージを与える潜在的リスクです。
特に厄介なのはこれが外からは見えづらく、表面上は「問題のない社員」として扱われやすい点です。
実際には、業務への関与度が著しく低下しているにもかかわらず、その異変に気づけない管理職や人事担当も少なくありません。
こうした“働いてるフリ”をする20代の若者たちが社内に一定数いると、確実に組織の屋台骨が揺らいでいきます。
では、静かな退職が企業にもたらすリスクとは一体何なのか。ここからはその実態を具体的に解説していきます。
周囲のモチベーションが下がる連鎖反応
静かな退職をしている社員の存在は単なる個人の問題にとどまりません。
むしろ、その“空気”は周囲に伝染し、チーム全体のモチベーションをじわじわと削っていきます。特に20代の若者が中心となるチームでは、この影響が顕著です。
たとえば、一人が「頑張っても評価されないから、もう最低限でいいや」と態度を変えると、それを見た他のメンバーも、「あの人が許されてるなら、自分も無理する必要はない」と思い始め細かい部分で手を抜いたり、やるべきことを曖昧にしたりします。
この連鎖反応が起きると、チーム全体の活気が失われ、報連相が減り、主体性が失われていきます。
さらに、静かな退職をしている社員は目に見えるトラブルを起こさないため、上司も問題視しづらく、結果的に“サボる人が得をする”構図になりかねません。
それは、真面目に働く人たちにとって強烈な不公平感を生み出し、企業全体の信頼関係を損なう原因となります。静かな退職という行動は、管理職にとって気づきにくい“職場の空気感染”なのです。
生産性が下がっても気づかれにくい構造的リスク
静かな退職のもうひとつの怖さはそれが企業の生産性に確実に影響しているにもかかわらず、非常に気づきにくいという点にあります。
表面的には出社している、メールにも返信する、会議にも出席する。
けれど実際には成果やアウトプットが極端に少ない、または質が下がっている。
こうした状態が続くと、業務の質が下がっているにもかかわらず、それが“個人差”や“担当案件の内容”にすり替えられてしまい、問題の本質にたどり着けません。
特に、定量的な評価制度が整っていない企業や、上司が部下の業務を細かく見ていない組織ではこのリスクが顕著に表れます。
20代の若者が静かに退職モードに入り、やる気を失ったまま仕事を続けている状況では、周囲の支援がなければパフォーマンスは改善しません。
しかし、本人は一応“勤務している”ので、上司は「大丈夫そう」「もう放っておこう」と見なしてしまうのです。
結果的に、組織は“人がいるのに仕事が進まない”という非効率に陥り、プロジェクトの遅延やミスの増加、そして顧客満足度の低下を招くことになります。
静かな退職は見えないコストとして企業の屋台骨をじわじわと蝕んでいく構造的な問題なのです。
本人は辞めないので人事上の対処も難しい(法的な問題)
静かな退職の最大の難点は、当の本人が辞めないという点です。
つまり、組織としては“問題社員”がいても明確な違反や規則違反がない限り、解雇や降格といった人事措置が非常に取りづらいのです。これは法的な問題とも深く関わってきます。
労働基準法の観点から見ても、労働者が最低限の業務を行っている以上、「やる気がない」「積極性に欠ける」といった理由だけで人事的に動かすことは難しく、実質的には手が出せません。
特に20代の若者が静かな退職状態にある場合、まだ勤続年数も短いため、「人事評価が難しい」「キャリアの途中で切るリスクがある」として対応が後回しになりがちです。
また、パフォーマンスが明らかに低くても、それを客観的に証明できる材料(評価記録や数値実績)がなければ、処分に踏み切ることも困難です。人事部としても、「見えない問題」にどう対処すべきか迷っているのが現状です。
こうした状況に陥らないためにはそもそも静かな退職に至らせない職場環境づくりが何よりも重要です。
20代の若者たちが、「ここでなら自分の価値を活かせる」と思えるようなフィードバック体制や評価制度の構築が急務です。静かな退職という現象はもはや個人だけの問題ではなく、企業のマネジメント力が問われているサインでもあります。
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静かな退職に至った実際の事例
静かな退職という言葉は抽象的に聞こえるかもしれませんが、その裏には、現実に悩み、葛藤し、やる気を失っていった人たちの“生きたストーリー”があります。
特に20代の若者にとっては職場での初期経験がその後の働き方に直結しやすく、上司との関係性や職場の雰囲気一つで、「仕事に全力を注ぐ人」から「働いてるフリをする人」へと心が切り替わってしまうこともあります。
ここでは、実際に静かな退職へと至った5つの事例を紹介します。それぞれ異なる背景を持ちながらも、共通して見えてくるのは企業側のマネジメントの隙と、若者の心が静かに折れていくプロセスです。
上司のパワハラや放置でやる気ゼロに
最初の事例は広告制作会社に勤める24歳の女性。
入社当初から、直属の上司による威圧的な言動や、理不尽な叱責に悩まされてきました。明確なパワハラの証拠を集めることも難しく、相談しても組織文化が体育会系なこともあり「それくらい普通だよ」と流される日々。次第に彼女は、自分の意見を言わなくなり、必要最小限の報告だけをするようになりました。
特に問題だったのは、上司からの“放置”です。「これ、やっといて」とだけ指示を出され、詳細な説明は一切なし。質問をすれば「自分で考えろ」と返される。正解もわからず失敗すれば怒られる。この負のループの中で、彼女は「動かないのが一番安全」と判断し、静かに退職状態に入り指示されても業務を淡々とこなし、定時になったら帰る。
上司も態度が変わったことに気づいたのと「これ以上やるとパワハラで通報されかねない」と判断したのか更に放置する体制に入ってしまいました。
静かな退職とはこうした精神的プレッシャーと、支援のなさが重なったときに起こりやすいものです。20代の若者にとって、最初に出会う上司がその後の働き方に与える影響は想像以上に大きいのです。
過剰な期待と丸投げに疲弊して動かなくなったケース
次の事例はスタートアップ企業に入社したばかりの25歳の男性。
即戦力として採用されたものの、業務の全体像も伝えられないまま「自由にやっていいから」と丸投げされ、判断基準も曖昧な中で業務を任される日々が続きました。
最初はやる気に満ちていた彼も、期待ばかりが重くのしかかり、誰にも相談できないまま仕事に追われ、ミスを重ねるうちに自信を失っていきました。
結果的に、上司はフォローどころか、ミスだけを責め立てるようになり、彼は次第に無力感に包まれていきました。
過剰な期待と放置、これは静かな退職を招く典型的なパターンです。
この事例は上司のマネジメント不足が原因で若者は自分の能力不足だと思い込み、成長どころか委縮してしまいました。
そして、「これ以上失敗したくない」という恐怖から、仕事に対して受け身になり、“働いてるフリ”へと移行するのです。
成長の機会を与えられず自ら距離を取った若手社員
大手メーカーに入社した23歳の女性は毎日単調なルーチンワークを繰り返す部署に配属されました。
面接では「自分のアイデアを活かせる職場」と聞いていたものの、実際にはマニュアル業務の繰り返しで、新しい挑戦も発言の余地もほとんどありませんでした。
彼女は数ヶ月にわたって改善提案を提出しましたが、返ってくるのは「そういうのは後でいいよ」という曖昧な返答ばかり。
やがて、何も言わなくなり、何もしなくなったといいます。「どうせ何も変わらない」という諦めが静かな退職への入口でした。
若者は常に成長を求めています。
そして、それを与えられなければ、自ら“距離”を取るようになるのです。これは、上司や管理職が20代を「放っておいても頑張る存在」と誤解していることの代償です。
評価されない・認められない職場で“静かにフェードアウト”
ある保険会社で働く26歳の男性は営業部門で優秀な成績を上げながらも、評価されない状態が2年続きました。
毎月トップ3に入っても、表彰されるのは年配の社員ばかり。理由を聞いても「バランスを見てるから」と濁され、努力が見えないところで無視されているような感覚に陥りました。
やがて彼は営業先への訪問数を減らし、定時で帰るようになりました。
表面上は問題ないように見えても、実際のアクションは大幅に減少。彼の中では、もはや「期待されていない」と感じており、会社との関係を静かにフェードアウトさせている状態です。
静かな退職は評価制度の曖昧さや“年功序列”の残る職場では特に起こりやすくなります。やる気のある若者ほど、報われない環境で早く心が折れてしまうのです。
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本人は「サバイブするため」と割り切っている
最後の事例はSNS運用企業で働く27歳の女性。
彼女は「静かな退職」を完全に戦略として割り切っていました。職場の空気はギスギスしており、頑張っても上司からの評価は曖昧。「だったら、給料分だけ働いて、自分の時間を大切にした方がいい」と自分の中で明確な線を引いたと言います。
彼女は“働いてるフリ”を続けながら、裏では副業や資格取得に時間を使い、自分のキャリアの選択肢を増やしています。「ここではもう期待してない。でも、自分は自分でサバイブする」と語る姿は、ある意味で非常に現実的でした。
このように、静かな退職は20代の若者にとっての“生存戦略”として機能している場合もあります。彼らは無力ではなく、むしろ冷静に「何が得か」「どこで自分を守るか」を見極めているのです。
なぜ今、静かな退職が広がっているのか?
「静かな退職」が2020年代に入り急速に広がっているのは、決して偶然ではありません。
単なる時代の流行語ではなく、社会の構造そのものが変化したことで、この現象が“表に出てきた”とも言えます。特に20代の若者にとって、仕事に対するスタンスは「人生の全て」ではなく、「人生の一部」に変わりつつあり、そこに企業や上司の価値観が追いつけていないことが大きなズレを生んでいます。
ここでは、静かな退職がなぜ“今この時代”に起こっているのかその根本的な要因を深掘りします。
昭和型の“根性論”と令和世代のギャップ
静かな退職が広がっている最大の理由の一つは職場での価値観の断絶です。
特に管理職や上司に多い昭和・平成初期世代の“根性論”と、20代を中心とする令和世代の若者の“自分軸重視”の考え方の間には、大きなギャップがあります。
昭和世代は、「苦労してナンボ」「寝食を惜しんで働くのが美徳」という価値観でキャリアを築いてきました。
しかし令和世代にとっては、メンタルヘルスやプライベートの時間を守ることこそが“持続可能な働き方”です。つまり、「頑張ること自体に価値がある」という考えに共感できないのです。
この世代ギャップが埋まらないまま「最近の若者はやる気がない」と決めつけることで、職場のコミュニケーションが一方的になります。
その結果、20代の社員は「どうせ理解されない」と感じ、自分を守るために静かに退職状態へとフェードアウトしてしまうのです。静かな退職は、価値観のズレが生み出した“静かな反発”でもあります。
リモートワークや非対面文化が生む“気配の消失”
コロナ禍以降、急速に進んだリモートワークの定着は働く人々の距離を物理的にも心理的にも広げました。
特に20代の若者にとって、入社当初からオンラインでのやり取りが中心となることで、「会社の空気を読む」「上司との距離を詰める」といった従来の職場文化が機能しにくくなっています。
その結果、上司が部下の“変化”に気づきにくくなり、若者たちは「自分の存在に誰も気づかない」と感じるようになります。
まさに“気配が消える”状態です。表面上は会議に出ていても、カメラをオフにしたまま発言もしない。チャットでは最低限のやりとりだけ。そうした中で、静かに退職モードへと移行する社員が増えています。
しかも、リモート環境では「やってるフリ」が成立しやすい。
ログインしていれば勤務していることになる、タイムカードも自己申告。
そんな中で「頑張っても目に見えないなら、最低限でいい」と判断する20代が増えるのも当然です。静かな退職は非対面コミュニケーションが前提となった令和の働き方が生んだ“副産物”とも言えます。
働き方改革の副作用としての“無関心化”
働き方改革は本来であれば労働環境を改善し、社員が健やかに働ける社会を目指すための制度です。
しかしその副作用として、マネジメントの“無関心化”を招いてしまっている側面も見逃せません。
たとえば、「残業させてはいけない」「指導がパワハラと取られたら怖い」といった空気感が職場に広がる中で、管理職が部下と深く関わることを無意識的に避けるようになってきています。
結果的に20代の若者が困っていても「大丈夫だろう」とスルーされ、感情的な孤立を感じやすくなっているのです。
また、「自律的に働く」というフレーズも、若手にとってはただの“放置”に映ることがあります。
経験も知識も浅い状態で「自分で考えろ」と言われれば、それは支援ではなく“丸投げ”です。こうして、働き方改革の名のもとに、職場から“人が人に関心を持つ文化”が薄れていった結果、静かな退職を選ぶ若者が後を絶たなくなっているのです。
20代の静かな退職は労働環境が良くなったから起きているのではなく、「形式的に整っているだけで、中身がついてきていない」ことへの失望が背景にあります。
誰にも干渉されず、誰にも気にされず、ただ“居るだけ”の状態が、静かに彼らの意欲を奪っているのです。
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企業・上司が取るべき対応策とは
最初に結論をお伝えすると静かな退職がここまで広がった今、企業はもはや「やる気のある人だけが残ればいい」という考えでは立ち行かなくなっています。
特に20代の若者が“働いてるフリ”という選択を取る背景には、組織の文化や上司との関係性に対する強い不信感がある以上、単なる制度変更やモチベーション施策では根本解決には至りません。
静かな退職は組織と個人の関係が壊れた末に起こる“心のログアウト”とも言えます。
だからこそ、企業や管理職が本当に取り組むべきは、目の前の行動だけを是正しようとするのではなく、信頼を回復し直すこと。ここでは静かな退職を防ぎ、職場に再び活気を取り戻すための、実践的な対応策を具体的に紹介していきます。
無理に鼓舞するより、関係性の再構築が先
静かな退職に陥った社員に対して、「やる気を出せ」「もっと積極的に動け」と鼓舞するのは逆効果です。
すでに関係性が崩れている状態でプレッシャーをかけても、さらに距離を置かれてしまうだけです。特に20代の若者は、“上からの押しつけ”に対して非常に敏感で、それが職場に対する不信感を深める要因にもなります。
まずやるべきは、信頼関係の再構築です。
それは小さな積み重ねからしか生まれません。挨拶、雑談、何気ない声かけ。
そういった日常のふれあいを通じて、「自分に関心を持ってくれている」「味方になってくれる存在がいる」と感じてもらうことが第一歩です。
たとえば、「最近どう?」という一言から始まる会話が、実は静かな退職を防ぐ最大の鍵になることもあります。
管理職が“上司という肩書き”ではなく、“人として”接する姿勢を見せることで、閉ざされた心の扉が少しずつ開かれていくのです。
個人の価値観と仕事の目的をすり合わせる対話を
静かな退職に陥る若者の多くは「自分が何のために働いているのかわからない」と感じています。
これは単に業務内容が面白くないという話ではなく、その仕事が自分の価値観や生き方と結びついていないことが原因です。
だからこそ、上司や管理職が果たすべき役割は「会社のミッションを伝えること」ではなく、「社員一人ひとりの価値観と、仕事の目的をつなぐこと」にあります。
特に20代の若者は人生の軸を模索している段階です。その模索に寄り添いながら、「この仕事はあなたにとって、どう意味づけられるか」を一緒に考えることが重要です。
たとえば「この業務の中で、あなたが工夫できるポイントはどこだと思う?」「この経験があなたの将来にどうつながると思う?」といった問いを投げかけることで、若者の中にある“自分ごと化”のスイッチを入れることができます。
こうした対話を通じて、自分の働き方に意味を感じられるようになったとき、静かな退職からの脱却が始まります。
つまり、若者の“エンゲージメント”は説得ではなく“すり合わせ”からしか生まれないのです。
日常のコミュニケーションの質を根本から見直す
静かな退職が進行する背景には日常のコミュニケーション不足、もしくは質の低下があります。
特に20代の若者は「何を言われたか」以上に「どんな風に言われたか」を重視します。
そのため、形式的な業務連絡や無関心な対応が続くと、「自分は見られていない」「関心を持たれていない」と感じ、自然と心を閉ざしてしまいます。
この状態を変えるには、まず“話す頻度”よりも“話の深さ”を見直す必要があります。
たとえば、週1回の1on1ミーティングを、ただの進捗確認で終わらせていないでしょうか?
そこで、「最近どんなことに悩んでる?」「この仕事で得た気づきは何だった?」といった本音に踏み込む対話を心がけるだけでも、関係性は大きく変わります。
また、リアクションやフィードバックも重要です。
成果を出したときには「助かったよ」「ありがとう」ときちんと伝える。
うまくいかなかったときには「原因を一緒に考えよう」と寄り添う姿勢を見せる。
こうした積み重ねが若者にとって「ここにいていいんだ」という安心感につながり、静かな退職の予防線になります。
管理職にとっては目の前の数字よりも“人の状態”を見抜く力が求められる時代です。
だからこそ、コミュニケーションの在り方そのものを、今こそ見直す必要があります。
次章では、実際に静かな退職を減らすことに成功している企業の施策を紹介しながら、現場で使えるヒントを具体的に解説していきます。
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静かな退職を防ぐ職場づくりのヒント
静かな退職は目に見えないけれど確実に職場の力を奪っていきます。
特に20代の若者がこの状態に入ってしまうと、パフォーマンスだけでなく、チーム全体の士気にも大きく影響を与えます。だからこそ企業は、“事後対応”ではなく“予防”に力を入れるべき時代に突入しています。
そのために重要なのは、制度を整えること以上に、「若手が安心して活躍できる職場の空気」をどう作るかです。ここからは、静かな退職を未然に防ぐために、実際の現場で意識したい具体的なヒントを紹介していきます。
若手が安心して声を出せる仕組みづくり
静かな退職の入り口にいる若手社員の多くが口にするのが、「何を言っても変わらないと思った」「相談しても無駄だった」という諦めの言葉です。
つまり、静かに退職していく前に、彼らは一度“声を出すチャンス”を探っているのです。その声を拾えなかった職場に、責任の一端があります。
若手が声を出すには、“心理的安全性”が不可欠です。
上司や先輩に何を言っても否定されず、責められないという信頼感があってこそ、本音が出てきます。これを仕組みとして支えるには、1on1ミーティングの設計を見直す、ピアフィードバック制度を導入する、匿名の意見箱を設けるなど、形式と場づくりの両面からアプローチする必要があります。
特に20代の若者は「聞かれたら答える」よりも「自然に話せる場」でこそ本音を語ります。
強制的な会議やフィードバックではなく、日常の雑談の延長にあるような対話の文化を根付かせることが、静かな退職の抑止につながります。
評価制度とキャリア設計を透明にする
20代の若者が最も不安を感じるのが「自分はどこに向かっているのかが見えない」状態です。
評価される基準が曖昧で、昇進・昇給の仕組みもブラックボックス。そうした不透明な環境ではどんなに頑張っても将来に希望が持てず、静かにやる気を失ってしまうのです。
この課題を解消するには、評価制度とキャリア設計の“見える化”が欠かせません。
具体的には「どのスキルを身につければ次のステップに進めるのか」「どの行動がどう評価されるのか」を明示し、上司と部下で定期的にすり合わせる機会を設けるべきです。
また、20代にとっては「キャリアは会社の中にあるとは限らない」という前提で考えている人も少なくありません。だからこそ、社外でも通用するスキルが身につく設計や、ジョブローテーション、副業支援など、広がりのあるキャリアパスの提示が有効です。
評価制度を“見える化”することで、社員は「報われる場所で働いている」と実感できます。
それが、静かな退職の未然防止につながる一歩目となります。
「頑張る意味」を実感できる職場風土へ
どんなに制度を整えても、根底にある職場の“空気”が冷え切っていれば、若手は静かに心を閉ざします。
彼らが本当に求めているのは、報酬や昇進だけではありません。
「自分の頑張りが誰かの役に立っている」「この仕事に意味がある」と実感できることです。
たとえば、自分のアイデアが採用されたときに「ナイス!」と即座に反応が返ってくる、自分の成果が社内報などで紹介される、上司が感謝の言葉を忘れずに伝える―こうした小さな積み重ねが、「ここで頑張る意味がある」と感じさせる職場風土を作ります。
また、業務目標の数字だけでなく、その仕事が誰にどう役立っているのかをきちんと伝えることも重要です。
「この資料を作ることで、営業部がクライアントを説得しやすくなる」など、業務の“社会的意義”を具体的に伝えることで、若手のやる気を自然と引き出すことができます。
静かな退職を防ぐには“意味の見える職場”に変えることが必要です。やらされ感をなくし、「やる理由」を明確にすることが、職場に熱を取り戻す鍵になります。
組織作りに困っているなら上司代行の選択肢も
現場の上司に多くを期待しすぎるのは、現実的には限界があります。
プレイングマネージャーとして多忙な日々を送る中で、部下のケアや関係構築まで手が回らないという声も少なくありません。そんなときに検討したいのが、「上司代行サービス」や外部のファシリテーターの導入です。
近年では、組織開発やマネジメントの一部をアウトソーシングする企業も増えており、外部の専門家が1on1やキャリア面談を代行することで、若手社員との関係性を再構築する支援を行うケースもあります。
これにより、管理職が自分の役割に集中でき、若手も安心して声を出せる“セーフゾーン”が確保されるのです。
特に20代の若者は「社外の第三者」に対しての方が本音を語りやすい傾向があり、こうした仕組みが静かな退職の“前兆”を早期に拾い上げる役割も果たします。
人手不足の時代、1人でも社員を失うダメージは大きいからこそ、組織作りに課題を感じている企業には、こうした“外部の力を借りる柔軟性”が必要とされています。
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まとめ|静かな退職は“個人の問題”ではなく“会社や上司の問題”
静かな退職は、決して「やる気のない若者」の話で片づけられるような単純な現象ではありません。
むしろそれは職場のコミュニケーション、マネジメント、評価、風土といった、企業側の“見えづらいほころび”が一人の若者を静かに退場させていくプロセスです。
特に20代の若者たちは、目の前の仕事だけでなく、その先のキャリアや生き方を見据えた上で、「ここではもう頑張る理由がない」と判断しています。
だからこそ、静かな退職は組織にとっての“赤信号”であり、上司や管理職が自らを見直すタイミングを知らせてくれているとも言えるのです。
ここでは、静かな退職を“個人の問題”とせず、どう向き合えば組織の力に変えていけるのか、最後に2つの視点から整理して締めくくります。
見えにくいからこそ早期の気づきと行動が重要
静かな退職の最大の特徴は、“気づかれにくい”ことにあります。出社している、業務をこなしている、指示にも従っている。
でも、そこに熱意や主体性はなく、内心では完全に心が離れている。この状態に早く気づけるかどうかが、企業の真価を問われるポイントです。
特に20代の社員は、年齢的にまだ“波風を立てたくない”という気持ちが強いため、悩みや不満をあまり表に出しません。
だからこそ、上司や管理職は、定期的な1on1や雑談の中で小さな変化に敏感になる必要があります。「最近どう?」の一言が、彼らの沈黙を破るきっかけになるかもしれません。
また、静かな退職は時間が経つほど修復が難しくなります。だからこそ、“異変”に気づいたら即行動することが求められます。制度改革を待つのではなく、まずは目の前の若者と向き合うこと。そこからしか何も始まりません。
若者の「やらない選択」を職場の成長のヒントに変える
静かな退職を「失望の表明」と捉えると、そこで終わりです。
しかし、それを「職場への問題提起」と捉えると、大きな成長のきっかけになります。
なぜ彼らはやらない選択をしたのか。その背景には、職場にどんな課題があったのか。それを振り返ることで、企業は内部改善のヒントを手に入れることができます。
たとえば、「成果が見えにくい業務に対して、誰も感謝の言葉をかけていなかった」「若手に挑戦の機会を与えず、成長の芽を摘んでいた」「失敗を許さない文化が、誰も手を挙げない空気を作っていた」。こうした振り返りをチーム全体で行うことができれば、静かな退職が“組織を再構築する契機”になります。
静かな退職は、必ずしもネガティブなだけの現象ではありません。
それは、若者が自分の人生を守るために取った行動であり、企業がそれを正しく受け止めれば、職場の風土改善につながります。
20代の声に耳を傾け、そこから学ぶ姿勢があれば、静かな退職は恐れるべき敵ではなく、組織が“変われるチャンス”になります。その視点を持つことが、いま全ての企業と上司に求められているのです。