【トラブル多発】デジタル終活をしないで起きた悲惨な相続事例5選

皆さんこんにちは。

本日は本当に避けたい「デジタル終活のトラブル事例」について実際の体験談をもとに解説をしていきます。

本記事がおすすめな方
  • 「デジタル終活」と聞いて何をすることか頭にすぐ浮かばない方
  • 「デジタル終活」は聞いたことがあるが、何をどうすればいいのか知りたい方
  • 終活をまずはじめてみたいという方

なぜ今「デジタル終活」がトラブルになってきているのか

私たちの生活に欠かせないスマートフォンやパソコン。

気づけばそれらの中には、数えきれないほどの個人情報、写真、契約履歴、資産情報が蓄積されています。

以前であれば、遺されたモノといえば実体のある現金や不動産、通帳などでしたが、現代では“目に見えない遺産”として「デジタル遺産(デジタル資産)」を保有する方が増えてきています。

しかし、このような変化に対して、十分な備えができている人はまだまだ少ないのが実情です。

特に初心者の方にとっては、「どこまでがデジタル終活の対象なのか」「何をどう整理すればよいのか」が分からず、つい後回しにしてしまうケースも多いのではないでしょうか。

ですが、そうした“後回し”が、相続の現場での混乱や、残されたご家族への思わぬ負担となることもあります。

ここではまず、なぜ「今」このデジタル終活が注目されるようになったのか、そしてどのようなトラブルが起こり得るのかを見ていきましょう。


スマホ・パソコンに眠る“デジタル遺産”が増えている

スマートフォンやパソコンはもはや私たちの「パートナー」とも言える存在です。

日々の連絡やスケジュール管理だけでなく、銀行や証券口座、ネットショッピングの履歴、写真や動画、さらにはブログやSNSでの投稿履歴まですべてが詰まっています。

このようなデジタル情報はいわば「デジタル遺産」とも呼ばれており、現代人が亡くなった後に遺される重要な財産のひとつと考えられています。

たとえば、ある調査によれば、50代以上の約3人に1人が「インターネットバンキングや電子マネーを利用している」と回答しており、デジタルに関連する資産の保有率は年々増加しています(※総務省「通信利用動向調査」より)。

ただし、これらのデジタル資産は目に見えないうえ、アクセスするためにはIDやパスワードが必要となるため、他人が簡単に中身を把握できるものではありません。操作に慣れていない方の場合、端末のセキュリティを強化するあまり、家族でさえログイン方法がわからず、必要な情報にたどり着けないという事態もありえます。

このような背景から「デジタル終活」の必要性が高まってきています。

デジタルの世界では“記憶されていても、残されていない”というケースが多く、いざというときにトラブルを招くリスクがあるのです。


相続の現場で急増するデジタルトラブルの実態

相続と聞くと、一般的には土地や預金、希少な所有物などが思い浮かぶかもしれません。

しかし最近では、相続の相談を受ける弁護士や司法書士の間で、「デジタルにまつわるトラブル」が増えてきていると報告されています。

たとえば、ネット証券口座や暗号資産(仮想通貨)などは、紙の書類をほとんど残さずオンライン完結しているケースが多いため、遺族が存在自体に気づけないこともあります。また、SNSアカウントの放置により、故人を装った詐欺行為や乗っ取り被害が発生したという事例も少なくありません。

国民生活センターや消費者庁でも、「デジタル遺産に関する情報整理が不十分なまま亡くなったことで、契約の自動更新や不正利用が続いてしまう」といった相談事例が報告されており、金銭的な損失だけでなく、精神的な負担にもつながっている現状があります。

デジタル終活が話題になり始めた背景にはこうした「実際に起こったトラブル」が数多く存在しているという現実があるのです。初心者の方であっても、情報を知っておくことで、無用な混乱を未然に防ぐことができます。


デジタル終活を怠ると家族・相続人へ相当な負担になります

誰かが突然お亡くなりになったとき、その方がどのようなデジタルサービスを利用していたのかを、遺族が一から調べなければならないというケースは珍しくありません。

特にスマートフォンにロックがかかっていて開けない場合、重要な連絡先や資産情報にアクセスできず、手続きが長期化することもあるようです。

このような状況は、残されたご家族にとって大きな精神的・経済的負担となりえます。

たとえば、オンライン上のサブスクリプション契約や有料アカウントが継続して請求されているにも関わらず、キャンセルできずに何ヶ月も料金を支払い続けたという話も聞かれます。

デジタル終活を怠ることはただ情報が整理されていないという問題だけでなく、「遺された家族・相続人に迷惑をかけてしまう」という社会的・人間関係的な側面も持っています。

また初心者の方こそ、「まだ関係ない」と思わずできるところから整理を始めることで、将来的な安心につながっていくのではないでしょうか。

こうしたリスクを最小限にするためにも、自分の使っているサービスや情報を“見える化”し、万が一のときに備えることが重要です。

次の章では実際にどのような理由でデジタル終活の落とし穴をさらに詳しくご紹介していきます。

デジタル相続で起きがちな3つの落とし穴

デジタル終活が注目されている背景には「遺された家族・相続人が困る現実的なトラブル」が実際に発生しているという事実があります。なかでも特に問題視されているのが、デジタル資産を巡る“見えにくい相続の落とし穴”です。

スマートフォンやパソコン、クラウドストレージ、サブスクリプション(定額課金)などは、契約情報が紙に残っていないことが多く、本人しか内容を把握していないケースがほとんどです。

そうした「個人に依存した管理」によって、家族や相続人がアクセスや解約に苦慮する例は年々増加しています。

ここでは、初心者の方でも起こりがちな代表的な3つの落とし穴を取り上げ、なぜそのようなトラブルが起こり得るのか、どうすれば未然に防げるのかについて考えていきます。


なんのサブスク契約をしているか不明(アマプラ・ネットフリックス)

現代のライフスタイルにおいて、サブスクリプション契約(定額課金サービス)はすっかり当たり前の存在になりました。動画配信サービスのAmazonプライムやNetflix、音楽配信、クラウドストレージ、電子書籍サービスなど、契約している本人も把握しきれていないほど多岐にわたることがあります。

ところが、これらのサービスは多くの場合、本人が手続きをしなければ自動的に更新され、使用の有無にかかわらず料金が引き落とされ続ける仕組みです。遺された家族がどのサービスを契約していたのかを知らないまま、何ヶ月、あるいは何年も無駄な支払いが続いてしまう例は少なくありません。

たとえば、ある調査によれば、40代以上のサブスクリプション利用者のうち、約3割が「契約しているサービスをすべて把握していない」と回答しています(2022年 MMD研究所調査)。つまり、本人でさえ把握できていない状態であれば、家族がその中身を知ることはさらに困難であると考えられます。

実際に御本人が逝去されて家族が契約しているサブスクを解除しようと思って、机の中に保管されていたサブスクのリストを見たが、それ以外も多くのサブスクが契約されていて解除するのに何ヶ月もかかった」という例も報告されています(この場合、クレジットカードの明細などをみて確認しますが、年一回の請求のみのサブスクでは気づくのが遅れるということもあります)

このような事態を防ぐには、契約しているサービス名、ログイン情報、支払い方法などを簡単にリスト化しておくことが有効です。特に初心者の方は、まず「今契約しているもの」を紙やメモアプリに書き出すところから始めてみると、無理なくデジタル終活をスタートできます。


スマホやサブスクのパスワード・認証方法が共有されていない

スマートフォンのロック解除や、サブスクリプションの解約手続きに欠かせないのが「パスワード」や「二段階認証」です。しかし、これらの情報が本人しか知らないままになっていると、万が一のときに、家族や相続人がデータにアクセスできないという問題が生じます。

特に最近はセキュリティ対策の強化により、ログインするたびにSMS認証やアプリ認証が求められる仕組みになっています。

そのため、スマートフォン自体のロックを解除できなければ、あらゆる手続きが事実上不可能になるケースもあります。

実際、あるご遺族が「父のスマホに遺されたネット証券口座の情報が分からず、数百万円が宙に浮いたまま相続できなかった」また「ログインパスワードが書き起こされていたが、実際にログインしようとするとできず変更された形跡があった」という相談を寄せられた事例もあります。

このような問題は資産があっても、それに「誰も手が届かない」状態になるという点で非常に深刻です。

初心者の方の場合「パスワードを紙に残すのは不安」という気持ちもあるかもしれません。

ですが、信頼できる家族や支援をしている会社に一部の情報だけを預けたり、パスワード管理アプリを活用したりするなど、対策の幅は意外と広く存在しています。小さな準備でも、将来の安心につながる可能性があるのです。

遺言書にデジタル資産の記載がない

法律上、遺言書は「財産をどのように分けるか」「誰に相続させるか」といった意思を残すことができます。

しかし、従来の遺言書の中では、デジタル資産について言及されるケースはまだ少数派になっているようです。(後述しますが、遺言書はあくまで「誰に何を相続するのか」を明記するためのものなので、情報自体は保存するのであればエンディングノートがその役割を担えます)。

理由のひとつに、「何を記載すればよいのか分からない」「情報が膨大で整理しきれない」という戸惑いがあるようです。

たとえば、ネット銀行の口座情報、仮想通貨、クラウド上の文書や写真、アフィリエイト収益、デジタル上のポイント(例:PayPay、楽天ポイントなど)など、デジタル資産は形がないだけに、その存在に気づかれにくく、遺言書にも反映されにくいという問題があります。

その結果、資産が誰にも引き継がれず、放置されたまま消失したり、トラブルの火種になったりすることがあります。初心者の方であっても、専門家に相談しながら、「デジタル資産リスト」を一緒に作成していくことで、無理なく準備を進めることができます。

また、法的な遺言書には必ずしも細かいログイン情報を記載する必要はありません。

代わりに、別紙やエンディングノートに補足して記すことで、個人の意志をより明確に遺すことが可能です。

これら3つの落とし穴は、どれも「思いもよらなかったけれど、実際にはよくあること」です。デジタル終活を行うことで、こうした落とし穴を未然に防ぎ、大切な人に負担をかけない準備ができます。

初心者の方も、「完璧にやる」ことを目指すのではなく、「まずは把握すること」から始めてみてはいかがでしょうか。

【実録】デジタル終活をしていなかった5つの悲惨な相続トラブル

「デジタル終活って、やらなきゃいけないのは分かってるけど、うちは大丈夫」――そう思って先延ばしにしてしまう方は少なくありません。しかし、現代の相続トラブルの中には、“デジタル情報が整理されていなかった”ことが直接の原因になっているケースが、実際に多数存在しています。

ここでは、初心者の方にもリアルに感じていただけるよう、実際に起きた5つのトラブル事例をご紹介します。いずれも「もしデジタル終活をしていたら避けられたかもしれない」と考えられているものであり、自分ごととして考えるヒントになるはずです。


事例①:故人のネット銀行に数百万円が入っていたが気づかずに5年が経過していた

ある60代の男性が突然お亡くなりになった後、家族が遺品整理を進める中で、「ネット銀行の口座情報」を一切知らされていなかったために、故人の資産が長年放置されてしまったという事例があります。

この男性は、大手銀行のメイン口座とは別に、投資用としてネット銀行口座を利用しており、その中には定期預金と株式配当金が数百万円単位で入っていました。しかし、紙の通帳が存在しないうえに、ログイン情報も手がかりもなかったため、家族がその存在に気づいたのは、なんと5年後。しかも、休眠口座扱いとなっていたため、資産の引き出しには非常に煩雑な手続きが必要となりました。

これは、デジタル終活をしておけば防げた典型的な例と言えます。

初心者の方も、自分が使っている銀行や証券のアカウント名だけでもリスト化しておくだけで、こうした取り残しは大きく減らせる可能性があります。


事例②:SNSで故人のアカウントが乗っ取られていた

20代の若い女性が交通事故で急逝した後、彼女のSNSアカウントが乗っ取られ、突然投稿内容が変わったり、変な投稿が始まった事例もあります。

家族は当然、ログイン情報も知らず、アカウントの停止手続きができない状態でした。その間、SNSではスパム投稿や詐欺まがいの広告が発信され、友人や知人たちが混乱し、悲しみのさなかでさらに心を痛める結果となってしまいました。

近年は、X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSが「個人の顔」となっている時代です。

だからこそ、亡くなった後のアカウント放置や悪用は、残された人々に大きな精神的ダメージを与えることがあります。デジタル終活の一環として、主要なSNSの一覧やログイン方法を信頼できる人に伝えておくことは、初心者でも実践しやすい大切なステップです。


事例③:暗号資産(仮想通貨)の存在に誰も気づけなかった

暗号資産(仮想通貨)に関しても、相続トラブルが急増しています。ある50代の男性が保有していた仮想通貨(ビットコインなど)は、彼のスマートフォンの中にしか情報がなく、ご家族はその存在自体にまったく気づけませんでした。

結果的に、数百万円分の暗号資産が放置され、事実上“相続されなかった財産”となってしまったのです。

仮想通貨は、紙の証明書や通帳が存在しないことが多いため、「知らなければ存在にすら気づけない」という特性があります。

初心者の方であっても、仮想通貨を保有している場合は、「取引所名(利用しているサービス名)」「通貨の種類」「保有していることを記録したメモ」だけでも残しておくことで、トラブルのリスクを大きく下げることができます。


事例④:定期便を契約していて死後にも毎月送られてくるトラブルが発生

健康食品の定期購入や日用品のサブスク配送なども、デジタル時代ならではの新しいトラブルを生んでいます。あるご高齢の女性が亡くなった後、毎月のように自宅に段ボール箱が届き続けていたという話があります。

原因は、本人がネットで契約していた複数の定期購入サービス。中でも、自動更新の設定がされていたため、クレジットカードから毎月数千円〜数万円が引き落とされ、誰にも止められない状態が続いていました。

残されたご家族は解約手続きを行おうとするも、アカウント情報が分からず、問い合わせ先にも本人確認が取れないため難航。最終的にはカード会社を通じて請求を止めて、別途利用停止手続きを踏み停止ができたようです。

こうしたトラブルも、デジタル終活によって未然に防ぐことができます。初心者でも、「何を定期で頼んでいるか」「契約がどこにあるか」を把握しておくことから始めてみるとよいでしょう。


事例⑤:死後も続くサブスク請求で遺族が困惑(誰が払うかのトラブルに発展)

動画配信サービス、デジタル新聞、クラウドソフトなどのサブスクリプション契約が解約されないまま、死後も引き落としが続いてしまい遺族の間で「誰が支払うべきか」でもめたという事例もあります。

とくに、本人が複数のサブスクを契約していた場合、相続人たちはその全容をつかむのに苦労します。加えて、契約名義が故人であることが判明していても、解約のために「ログイン情報が必要」「メールアドレスの認証が必要」などの壁が立ちはだかるため、簡単には手続きが進まないのが実情です。

このような事態を避けるためにも、デジタル終活は「自分だけの問題」ではなく、「家族のための準備」でもあるという意識を持つことが重要です。初心者の方も、まずは月額サービスを見直し、情報をメモに残すところから一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

今すぐ始めるべき!トラブルを防ぐデジタル終活のすすめ

これまで見てきたように、デジタル終活を後回しにすることで、予期せぬ相続トラブルや家族への精神的・経済的負担が発生するリスクは確かに存在しています。特に、インターネットが生活に深く浸透している現代においては、スマホやクラウドに蓄積された情報、SNS、オンラインバンク、サブスクサービスなど、見落とされがちな「デジタル資産」の整理は重要なテーマになりつつあります。

とはいえ、「何から始めたらいいのかわからない」という初心者の方も多いかもしれません。ここでは、これからデジタル終活を進めていくにあたって、トラブルを未然に防ぐための実践的なステップをわかりやすくご紹介します。


まずは所有するアカウントと資産の棚卸しから

デジタル終活において、最初の一歩としてとても大切なのが、「自分が所有しているアカウントや契約サービスをリストアップすること」です。銀行、証券、SNS、クラウドサービス、動画配信サービス、ネットショッピングサイト、定期購入、ゲームなど、日常の中で自然と増えている「アカウント」は意外と多く、本人も把握しきれていない場合もあります。

この段階では、細かいパスワードまでは必要ありません。初心者の方でも始めやすいように、まずは以下のような情報をまとめておくだけでも十分な効果があります。

  • サービス名(例:楽天銀行、Amazon、Netflixなど)
  • 登録しているメールアドレス
  • 利用目的や頻度
  • おおまかな資産の有無(あり/なし など)

この「棚卸し作業」を行うだけで、死後に残されたご家族が「何がどこにあるのか分からない」という混乱をかなり防ぐことができます。紙のノートでも、Excelなどの表形式でも、スマホのメモ帳でも構いません。大切なのは、リストを“見える化”しておくことです。


信頼できる人へ引き継ぎ方法を決めておく

情報の棚卸しができたら、次に考えたいのが「それらの情報をどうやって引き継ぐか」という点です。これは非常にデリケートなテーマでもあるため、慎重に検討する必要があります。

たとえば、誰にどの情報を渡すのか。家族全員に同じ情報を伝える必要があるのか、それとも信頼できる一人の方に任せるのか。あらかじめ考えておくと、相続の場面での混乱を防ぐだけでなく、無用なトラブルや疑念の芽を摘むことにもつながります。

また、引き継ぎの手段についても検討が必要です。パスワードやIDを紙に書いて保管するのは簡単ですが、紛失や盗難のリスクがあります。一方、パスワード管理アプリなどを利用している場合は、そのマスターパスワードの管理や共有の方法をどうするかが課題になります。

「初心者だから難しい」と感じる方も多いかもしれませんが、信頼できる家族や友人と一緒に、少しずつでも話し合っておくと安心です。重要な資産については、弁護士や司法書士などの専門家に相談して、「遺言書」や「信託」などの制度を活用することも視野に入れるとよいでしょう。


エンディングノートやデジタル遺言を活用する

自分の思いや、保有しているデジタル情報をわかりやすく残しておく手段として、「エンディングノート」は非常に有効です。特にデジタル終活においては、以下のような項目を記入することが推奨されています。

  • 所有しているアカウントと用途
  • 資産の概要(ネット銀行・証券・暗号資産など)
  • SNSアカウントの扱い(削除希望/残したい など)
  • パスワードの保管方法(例:○○に保管しています)
  • 信頼できる人へのメッセージ

こうした情報を記録することで、残された方々が「どうしていいかわからない」という事態を防ぐことができます。

少し古いエンディングノートや簡易なものだと「デジタル資産」についての項目が用意されていないものもあるので、注意が必要です。

また、最近では「デジタル遺言」と呼ばれる取り組みも増えてきています。これは、紙の遺言書とは別に、自分のデジタル資産やアカウントについての希望や管理方針を記録するものであり、法的効力は限定的なものの、家族の参考情報としてとても役立ちます。

初心者の方についてはまず、自分のスマホに保存されている写真や連絡先、SNSなど、身近なところから考え始めてみると、自然と「何を残したいか」「何を整理すべきか」が見えてくるかもしれません。大切なのは、「完璧を目指すより、まず動き出すこと」です。

まとめ|「自分は大丈夫」が最も危ない。デジタル終活の一歩を

これまで見てきたように、デジタル社会で生きる私たちにとって「デジタル終活」はもはや一部の人だけの話ではありません。

スマホやSNS、ネット銀行、サブスクなど、私たちの日常には数えきれないほどの「デジタル資産」が存在しています。

だからこそ、「まだ早い」「自分は関係ない」と思っているうちに、予期せぬトラブルに直面するケースが後を絶たないのです。

特に初心者の方は「終活」という言葉に対してハードルの高さを感じてしまうかもしれません。しかし、デジタル終活は何も大げさなことをする必要はなく、「自分の情報を一度整理して、誰かに伝える準備をしておく」だけでも、大きな意味があります。

人生の終わりは、誰にとっても避けられないものです。だからこそ、今この瞬間に「何かできることはないか」と立ち止まって考えることが、未来の安心につながっていきます。


人生の最後は突然くる|残された兄弟や親戚、家族へ迷惑をかけないためにも事前の対策を

突然の事故や病気、あるいは静かに訪れる別れ人生の最期がいつ来るかは、誰にもわかりません。実際、事前の準備がされていなかったばかりに、兄弟や親戚、家族が「どうすればよいのか分からずに困ってしまった」という話は数多く報告されています。

たとえば、遺品を整理してもログイン情報が見つからず、暗号資産が取り出せなかったり、サブスクの支払いが延々と続いてしまったり。あるいは、SNSのアカウントがそのまま放置され、故人の意思とは異なる形で悪用されてしまったり。こうしたトラブルは、ほとんどの場合、「デジタル終活がされていなかったこと」に起因しています。

特に「初心者だから何をすればいいのかわからない」と感じる方こそ、今こそ小さな一歩を踏み出すタイミングかもしれません。たとえば、スマホの中の大切な写真や連絡帳をバックアップしておく、使っているアカウントを紙に書き出してみる。そんな些細な行動からでも、未来のトラブルを大きく防ぐ力になります。

デジタル終活は、自分の人生を大切に締めくくると同時に、残された人への優しさでもあります。「誰かの負担になりたくない」「自分の意志をきちんと残しておきたい」と思うなら、ぜひ今日から始めてみてください。

そして、もし整理や引き継ぎに不安があるようでしたら、専門家へ相談することも一つの安心材料になります。行政書士や司法書士の中には、デジタル資産やデジタル遺言に詳しい方もいらっしゃいますので、必要に応じてプロの力を借りるのも選択肢のひとつです。

あなたの大切な人生と、ご家族の未来の安心のために。今、できることから少しずつ。デジタル終活は、未来へのやさしい備えです。