広告の内製化・インハウス化で失敗するよくあるケース3選

皆さんこんにちはプロストイックの久保田です。本日は広告内製化・インハウス化をしようとする企業によくある失敗例についてお話させていただきます。

広告の内製化・インハウス化とは?

広告のインハウス化といっても大きく2パターンがあり全てをインハウス化する「完全インハウス化」のケースと部分的に行う「一部インハウス化」のケースがあります。

全てをインハウス化はタグ設定、クリエイティブ制作、管理画面操作・配信管理、レポート等全てを自社で行うことを指します。外部のツールも導入している場合もあると思いますが、基本的には外部の代理店に頼らず自社で実施するケースが該当します。

一部インハウス化は広告運用業務の部分的なところを外部に委託して一部を自社で行うケースです。例えば広告の運用自体は自社で行うが、設定や外部事例、運用のサポートなどは外部に頼むケースです。

どちらが良い悪いなどはありませんが、どういった企業にはどのケースが向いているかについて本記事の後半で解説します。また媒体や広告メニューによってタスクが異なるのでどの部分をインハウス化するのかについて

リスティング広告

リスティング広告を運用内製化するに当たってのタスクは主に「タグ設定」「クリエイティブ作成(文言)」「配信管理」「キーワードやオーディエンス設定」「レポーティング」があります。

どの部分をインハウス化(内製化)するのかは企業によってケースバイケースですが、クリエイティブ作成からキーワードの設定、配信管理の運用部分を全て自社で行うケースが多いです。

タグの設定やレポーティングなどを一部外部にお願いしているケースもあります。リスティング運用は日々チューニングを実施する必要があり、配信の規模にもよりますが基本的には専任で見る人材を2名程度付ける必要があります。

SNS広告(LINEやmeta)

SNS広告もリスティングとほとんど同じでタスクは主に「タグ設定」「クリエイティブ作成(文言)」「配信管理」「キーワードやオーディエンス設定」「レポーティング」があります。

リスティング広告との違いとしてSNSは画像や動画を別で制作する必要があります。この制作部分を自社で行うか、外部に委託するかで自社内のリソースが変動します。企業規模や広告の配信規模によって調整するケースが多いですがそこまで頻度が高くない場合は制作部分は外部に委託することが多いです。

ディスプレイネットワーク系広告

こちらはディスプレイ系の面配信系での広告メニューです。リスティングやSNSと大きく違いはありませんが、ディスプレイ系広告は面での配信になるため「配信の目的」や「ターゲティングやオーディエンスの設定」が重要となってきます。

商材によっても変わりますが、多くのユーザーにリーチするためコンバージョンという観点では精度はリスティングと比べて見劣りするケースがあります。またどんなユーザーに広告を見てもらいたいのかによって配信調整を行う必要があり細かく調整しようと思えばできる分、細かく実施しようとするとやや大変でもあります。

広告のインハウス化(内製化)を実施する背景

広告をインハウス化(内製化)する背景は企業によって様々ですが、主な理由として上がるのは以下の理由が多い傾向にあります

コスト削減

広告のインハウス化で最も多い理由がこの「コスト削減」です。

広告代理店のマージンテーブルとして相場は15%~25%前後ですが運用金額規模が大きくなればなるほどマージンの金額も膨れ上がります。例えば月1,000万円の広告費を出していれば月間で200万円、年間2,400万円のマージンが発生します。

このマージンを払うくらいなら自社で人を採用・育成をして広告を運用してもらったほうがコスト的には安いという計算です。

もちろんこの単純なコスト計算だけが理由ではないですが、販管費は会社内からも目をつけられやすく業績によって削減してほしいと上層部レイヤーから伝達を受けることもあると思います。

その際に一番目をつけられるのが広告費です。代理店に依存している企業は難しいこともありますが、インハウス化にも色々な形態があるためコスト削減の観点でインハウス化を進めるのは決して間違った選択肢ではありません。

実際にコスト削減を実現して社内で表彰された例やメディアに取り上げられた例などやはりコスト削減はインパクトが大きいので実現するとかなり大きな功績になりえます

代理店に不満

別の理由として代理店への不満が挙げられます。「2,3社代理店を使ったがどれもぱっとしない」「担当のレススピードが遅い」「提案が全然ない」等色々な不満を持っている企業もいると思います。

実際に代理店に不満を持っている・代理店依存からの脱却でインハウス化(内製化)に踏み切る企業は多くいます。

この際の注意点としては既存の代理店と直接やり取りをして自社内製化を進めようとしても代理店が協力的ではない場合があります。

契約書に記載のない事項や与件範囲外と言って対応しないことや別見積もりを取られるケースもありこうなるとかなり苦労します。この場合は外部の協力会社を使い内製化を進める必要があります。

自社にノウハウを貯めたい

そして自社でノウハウを貯めたいこともインハウス化を目指す理由の1つです。

例えば広告で言う管理画面の操作や広告メニューとしてどんな面に配信ができるのか、どんなターゲットにリーチできるのかなど詳しく深ぼればどこまでもできます。ノウハウを貯めることの重要性としては何かキャンペーンなどの施策を実施しようとしたときに、広告でどんなことが実現できるのかを自身で判断できるようになると言うのがポイントです。

代理店依存の場合、何かキャンペーンを実施しようとしても「とりあえずこの施策実施するから代理店さんにプランニングお願いして。予算はこれで」という自分たちでは何も考えない指示になりがちです。

逆にアバウトな指示をすることで代理店とのディスコミュニケーションが生まれ実施したい方向性にズレが発生したりします。ノウハウを貯めることで実現したい方向性にズレがなく、素早く的確に実現に向けたアクションに取り掛かれるため効率面でも効果を発揮します。

社内でのプレゼンス

広告運用業務を外部に投げていると自社にノウハウや知識がないため広告に関する詳しい会話はでき無いことが多いです。他部署と連携して広告を打つ場合にも詳しい説明ができず終わってしまうケースもあります。

しかし自社に広告運用者を抱えることで広告における配信の設計意図やどんなターゲットに広告を当てるのかなどの説明が根拠や説得力をもって可能になります。

また広告運用のインハウス化を実現してコスト削減を実現することで社内でインパクトのある報告ができプレゼンスが高まることもあります。

広告のインハウス化は失敗例が多く目立つ

広告のインハウス化を実現することでコスト削減やノウハウの蓄積、社内プレゼンスの向上などが実現できる可能性がありますが、実現に至るまではかなり大変な道のりを辿るケースもあります。広告を設定、運用、レポート、クリエイティブ作成まで自社で回すとやや大変

失敗するケース①:上司からの業務命令で

これはよくあるケースで会社としてコスト削減したい、代理店使わず「筋肉質な体制にしたい」と上層部からの司令として発生するケースです。上層部や経理部長などが販管費の抑制をしたい等の理由で現場へ「既存代理店は辞めて自分たちで広告運用しよう」とトップダウンで命令が下るケースです。

これはかなりリスクが高く、手順やスケジュールを間違えると現場が混乱して失敗するケースが多いです。よくある声として上がるのが「自分たちでやろうと思えばできるでしょ」と安易に考え今の業務や体制などの整備もなく(現場に丸投げ)見切りスタートを切ってしまう場合です。

やりながら模索していくことは悪いことではないですが、配信事故や過度な業務負担に繋がりかねません。きちんと計画を立てる必要はありますし、ある程度の準備、整備をしてから始めないと結局「できません」「やっぱり辞めます」と言う結論になりかねません(トップダウンの会社によくある光景です)。

失敗するケース②:ただコストを削減したいだけ

インハウス化したい理由として「コスト削減」はよく上がる声ですし、これ自体を実現することは間違っていません。しかしコストを削減したいが故に現場の業務もわからないのに「3ヶ月でなんとかして」「今期中に1000万円削減目指して」など現実離れした指示が来ていると言う現場担当者の悲痛な声が聞こえてきます。

例えばですが「今期中に1000万円削減を目指す」と言うこと自体は広告費を落とせばいいだけの話に思えるかもしれませんが「成果は落とさずに」が難しいポイントになるのかと思います。広告費を削ればこれまで出ていた成果が減るということですから別の成果創出手段を見つけるなど対策が必要です。

失敗するケース③:運用体制がないまま見切りスタート

これも先ほどから記載している失敗例でも触れてきていますが現場のリソースや体制の整備がないのに見切り発車して現場を混乱させてしまうケースです。

例えばインハウス化を実現するとして現場担当者が既存業務でほぼ埋まってるとしたら代理店からの引き継ぎやその業務の巻き取りなど手を動かす作業などはできないですよね。これも現場が混乱して苦労するケースです。

準備がないまま進めてしまうと過剰な業務負荷が発生して数ヶ月と持たない状況になって、コスト削減はおろか担当者の退職などにも繋がりかねません。

事前準備がないので配信事故や無駄コストが発生

ここまでのお話で「事前準備・現場の環境整備」をきちんと行ってからインハウス化をスタートすることがいかに大事かお分かりになりましたでしょうか。

現場負荷が増すことで残業(残業代)の増加、役割分担がないのに一部を無理やりインハウス化して配信事故や無駄コストの増加などとてもリスクが高いです。

プロジェクト化してフェーズを分け丁寧に進めていくことで無駄コストの抑制や最終的なインハウス期間も短く済むことが多いです。

広告のインハウス化を進めるためのステップ

ではインハウス化の本来の進め方について解説していきます。会社によって状況は異なると思いますが、あくまでスタンダードな進め方は見るべき、抑えるべきポイントを記載します。

1.ゴールを明確にする

まずはゴール設定です。ここが決まっていないと何を目指してインハウス化なのかが誰にもわかりません。

場合によってはこの業務は自社でインハウス化するけど、この業務は引き続き外部にお願いすると言うことも出てくると思います。なので目指すゴールとしてどの業務を自社でインハウス化を目指すのかをきちんと整理しましょう。

2.スケジュール・プランニング

次はスケジュールについてです。今の業務がどのくらいあり、インハウス化に向けた取り組みにどのくらい時間を割けるのか。またインハウス化に当たっての今のリテラシーや対応可能レベルなど色々なものを推し量る必要がありそれによってスケジュールの組み方も大きく変わってきます。

インハウス化する業務量が少なければ負担も少ないかもしれませんが、これまで代理店が見えないところで実施してきた業務などもあるかもしれないので、表面的なタスクで判断しないように注意が必要です。

3.体制とリソース

一番大事なのがこの「体制とリソース」の確保です。最初は他業務と掛け持ちになってしまうことは致し方ないですが、徐々にインハウス化された業務量と必要な稼働時間の見積もりを精緻化していきましょう。「この業務には2時間かかる」「この業務は週次で対応」などタスクを細分化して業務の見極めが必要です。

そしてそのタスクを実行できる担当をきちんと決めましょう。タスク分担が曖昧になってしまうと放置されたタスクが潜在化して結果「あれ?これってどうなってるんだっけ?」となりかねますし、広告などが放置されると配信事故に繋がります。

4.業務移管

インハウス化の準備や現場の整備が整ったら実際に業務移管を行なっていきます。ここで言う業務移管は前提の知識をインプットすることもそうですし、手を動かす作業のフローなども含まれます。

ここはかなり丁寧かつ慎重に実施した方がいいです。抜け漏れなくチェックリストやタスクリストなどを作成して業務移管を行なってください。

既存代理店ではなく外部の支援会社の活用

ここまでインハウス化を進めるに当たっての注意点やフローを記載していますが、実際に対応すると思っていた以上にかなりハードなことが多いです。自分たちで代理店とコミュニケーションをとり業務移管を行うこともできなくはないですが、代理店が協力的ではないこともありますし、代理店側が見えない部分で実施していたタスクなどもありそれが顕在化すると「想定とは違った」ということも起こりえます。インハウス化を進めることが自身では難しい場合はぜひプロストイックをご活用ください。プロストイックはインハウス化を専門特化で支援しており、企業のお悩みやインハウス化のノウハウが蓄積されています。また代理店を複数使うダブルコストにならないように一旦弊社で代理店業務を全て巻き取らせていただき、インハウス化を進めるということも可能です。

広告のインハウス化の成功事例

では実際に広告のインハウス化で成功してきた事例についてご紹介をします。インハウス化の成功と言っても会社によって目的やゴールが違うのでその点について詳しく解説をしていきます。

銀行業:自社で運用をインハウス化

これは地方銀行の広告インハウス化の事例です。背景として広告費を毎月1000万円程度使っていました。代理店も過去含めて複数社使いましたが、あまり成果は変わらない状況でした。

自社内にもデジタルに知見を持った人材はいなかったので引き続き代理店と一緒に販促を進める予定でしたが、外注費の見直しが社内的に発令されたのをきっかけに自分たちで実施しなくてはならなくなりました。

デジタルマーケティング業務は複数実施していましたが、まずは広告の内製化をゴールとして実施することになりました。ベースの広告リテラシーやデジタル広告の知識が不足していたため、業務を一緒に進めながらレクチャー。シミュレーションなども一緒に作成して宿題形式で手を動かしてもらいつつ理解を深めていきました。

トータルでの移管期間は1年半程度かかりましたが。最終的にはコスト抑制などにも成功して自社のマーケティング力強化に繋がりました

アパレル業:自社で一部インハウス化

こちらはとあるアパレル業のインハウス化事例です。毎月新しい商品を出すのでページの制作にかなりリソースが必要なため制作業務などは全て外部に委託していました。

広告なども販促として実施していましたが、イマイチ代理店へのコミュニケーションがうまくいかず思ったような成果が出ませんでした。また広告に使われているバナーなども代理店に制作してもらっていましたが、トンマナやデザインがイマイチでした。

そこでバナー制作に関しては自社にデザイナーがいるので自社で実施することにしてその分運用マージンを下げてもらうことにしました。

結果としてはコスト削減にもなったのと自社でバナー制作を実施することで無駄なコミュニケーションコストの削減にも成功しました。

まとめ

いかがだったでしょうか。広告のインハウスは手順を間違えると配信事故に繋がりますし、実は代理店が裏側で行っている作業などもありインハウス化を進めると落とし穴となるタスクなども出てくると思います。

自社に多少の知識があっても自社だけでインハウス化を進めるのが難しい場合、ぜひプロストイックにお問い合わせください。プロストイックは企業のコスト削減や自社マーケティング強化を目的にインハウス化の支援をしています。

現在は無料のインハウス化診断も行っているのでぜひお問い合わせください。

お問い合わせはこちら。https://pro-stoic.com/contact/

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