皆さんこんにちは。
本日は将来の介護に備えたい方向けに絶対に知ってもらいたい「終活における介護の手続きや注意点注意点」について実際の体験談をもとに解説をしていきます。
- 現在50代だが、将来の介護生活が心配
- 将来、介護生活になってもいいように今から備えたい
- 現在60代だが介護のための準備について全くイメージができていない
介護が必要になる前に“終活”を始めるべき理由
「終活はまだ自分には早い」と感じている方も少なくありません。
しかし、実際に介護が必要な状況になってから慌てて準備を進めるのは、とても大きな負担になります。元気なうちから少しずつ備えておくことで、心の余裕が生まれ、ご家族にとっても安心材料となります。
終活と聞くと「人生の最終段階に入ってから始めるもの」というイメージを持たれがちですが、介護との関わりを考えるとむしろ介護が始まる前に取り組んでおくべき大切な準備といえます。ここでは、なぜ早めに動くことが大切なのか、3つの視点から整理してみましょう。
認知症になってからでは間に合わない
終活を後回しにしてしまう大きなリスクのひとつが、認知症の発症です。
厚生労働省の推計では、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると見込まれています。
認知症が進行してしまうと財産管理や契約行為を自分で判断することが難しくなり、遺言や介護の希望を伝えることができなくなってしまう可能性があります。
例えば「延命治療を希望するかどうか」「どの施設に入りたいか」といった意思表示も、元気なうちでなければ記録できません。
また、不動産や銀行口座の管理も本人の意思が確認できなくなると、家族がスムーズに手続きを進められなくなります。その結果、介護と同時に法律的な手続きや財産管理でご家族が苦労する事例も少なくありません。
だからこそ、認知症になる前の段階で終活を進めておくことが重要です。
早い段階で希望をエンディングノートに書き残したり、任意後見契約(将来の財産管理を信頼できる人に委ねる契約)を検討したりすることで、安心感を得ることができます。
家族の負担を減らすための準備
介護は本人だけでなくご家族にとっても大きな影響を与える出来事です。
経済的な負担、時間の制約、心の疲労などが重なり、介護する側が疲弊してしまう「介護うつ」に至るケースもあります。
そのような中で、本人があらかじめ終活を通じて準備を進めているかどうかは、ご家族の負担を大きく左右します。
例えば、財産や保険の整理が済んでいれば、介護費用の捻出方法を検討しやすくなります。医療や介護に関する希望を共有していれば、ご家族が「どうすればよいのか」と迷う場面が少なくなります。
実際に、「父が生前に介護施設の候補をリストアップしていて助かった」という体験談も聞かれます。
逆に、何も情報がない状態で急に介護が始まると、施設探しや費用の準備に追われ、心身ともに大きな負担になってしまうのです。
終活は本人のためであると同時に、家族を守るための思いやりの準備でもあります。早めに進めることで、介護の入り口に立ったときに安心して対応できる環境を整えることができるのです。
介護と終活は切り離せない関係
終活と介護はそれぞれ別のものと考えられがちですが、実際には密接に結びついていて介護は終活(人生の整理)のひとつです。
終活では財産の整理や遺言の作成だけでなく、医療・介護に関する意思表示をしておくことが大切だからです。
例えば、介護サービスを利用する際には「自宅での生活を希望するのか」「施設に入りたいのか」といった意思が大きく関わります。これを事前に伝えておくことで、ご家族が方針を決めるときの迷いが少なくなります。また、介護費用をどのように準備するかも、終活の一環として考えておく必要があります。
このように考えると、介護と終活は切り離して考えることができない関係だと言えます。
終活を進めておくことで、介護が必要になったときの負担を軽減し、本人も家族も安心して生活を続けることができるのです。
終活でやっておきたい介護関連の手続き
介護はある日突然必要になることも少なくありません。
そのため、事前に「どのような制度を利用できるのか」「費用はどう備えるのか」を知っておくことが、終活の中でも大切な準備となります。
介護に関わる手続きは多岐にわたりますが、早めに把握しておけば慌てずに対応できます。
ここでは、介護保険の申請から判断力が低下した際の備え、さらに費用面での準備について、押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
介護保険の申請と要介護認定の流れ
介護サービスを利用するためには、まず介護保険の申請と要介護認定を受ける必要があります。
これは市区町村が窓口となり、本人または家族が申請して行われる手続きです。申請後は調査員が自宅を訪問し、身体の状態や生活の様子を確認。その結果と主治医の意見書をもとに、要支援1〜2、要介護1〜5までの区分が決まります。
要介護度が決まると、その区分に応じた介護サービスを受けられる仕組みになっています。
例えば、要支援1では週に数回のデイサービス利用が中心となり、要介護5になると24時間体制での介護が必要になる場合もあります。
申請から認定までは通常1か月程度かかるため、急な体調悪化で「すぐにサービスを受けたい」と思っても間に合わないことが多いのです。
だからこそ、終活の一環として介護保険の流れを理解しておくことは大切です。ご家族にとっても「どのタイミングで申請すればよいか」が分かっていれば、慌てずに行動できます。
任意後見制度や家族信託で判断力低下に備える
介護の現場では、ご本人が認知症などで判断力を失い、財産管理や契約ができなくなるケースも多くあります。その備えとして、任意後見制度や家族信託といった仕組みを検討しておくことが終活には欠かせません。
任意後見制度とは将来判断力が低下した場合に備えて、あらかじめ信頼できる人(家族や専門職)に財産管理や介護契約などを任せる契約です。
元気なうちに公正証書で結んでおけば、実際に支援が必要になったときにスムーズに効力を発揮します。
一方で家族信託は財産を信頼できる家族に託し、本人に代わって管理や運用を行ってもらう方法です。例えば「不動産の売却を子どもに任せたい」「介護費用を家族が引き出して使えるようにしておきたい」といった希望を叶えることができます。
こうした制度を知っておくだけでも、「介護とお金の問題」に対する安心感が増します。終活と介護は切り離せないため、判断力があるうちに制度を選び、準備しておくことが望ましいとされています。
医療・介護費用に備えた保険や資産整理
介護にかかる費用は思った以上に大きな負担になることがあります。
厚生労働省のデータによれば、介護が始まってから亡くなるまでの平均期間は約5年とされており、総額で数百万円、数千万円規模になるケースも少なくありません。
規模や介護の度合いにもよりますが、老人ホームに入会するにも月額20万円~50万円程度かかる施設もあり、一括前払いの施設もあり一度に数千万円を支払うということもあります。
そこで役立つのが、医療保険や介護保険の活用です。
民間の介護保険では、要介護状態になった際に一時金や年金形式で給付を受けられる商品があります。また、医療保険に介護保障が付いているケースもあり、入院や通院とあわせて備えることが可能です。
同時に、資産整理も進めておくと安心です。
銀行口座や保険証券、不動産の権利証などを整理しておけば、ご家族が介護費用を準備するときにスムーズに対応できます。「どの口座から引き出せるのか」「どんな保険に加入しているのか」を明確にしておくことは、終活を通じて家族の負担を軽減するための具体的な備えとなります。
介護に直結する“生活面”の終活準備
介護が始まったときに最も影響を受けるのは、日常生活の場そのものです。
住環境の整備、日々の健康管理、そして医療や介護の方針を家族と共有しておくことは、将来の安心につながります。
さらに、近年はデジタル機器やインターネットサービスの利用が増えたことで、そこから生じるトラブルを避けるための備えも重要になってきました。ここからは、生活面でできる具体的な終活準備について解説していきます。
住まいのバリアフリー化や住み替えの検討
介護の場面で一番の課題になるのが「住まいの安全性」です。
加齢とともに転倒や段差でのつまずきが増えるため、早めにバリアフリー化を検討することは、終活の一部としてとても有効です。
廊下や浴室に手すりをつける、段差を解消する、すべりにくい床材へ変更するといった小さな改修だけでも事故の予防につながります。
また、介護が長期化する可能性を見据えて「住み替え」を考える方も増えています。
平屋への移住や、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の利用など、選択肢は多様です。早い段階で検討しておけば、体力や判断力があるうちに安心できる住まいを選ぶことができます。
このように、介護と住まいは密接に結びついており、終活で住環境を整えることは安心した暮らしへの大切な準備だといえます。
デジタル終活で介護中のトラブルを防ぐ
近年ではご年齢関係なく多くの方が銀行口座や公共料金の支払い、買い物に至るまでデジタルサービスを利用しています。
介護が始まった際に、これらの情報が分からないまま放置されると、家族が支払いに気づけなかったり、解約できずに余計な出費が続いたりするケースがあります。
そのため、デジタル終活として、利用しているサービスやパスワードを整理しておくことが大切です。
例えば、エンディングノートに「どの口座から引き落としがあるか」「使っているアプリやサブスクは何か」を記録しておけば、ご家族が介護中に慌てることが少なくなります。
また、SNSのアカウントや写真データといった「思い出」も、残すか削除するかをあらかじめ決めておくと安心です。こうした情報整理は、介護中の金銭的・心理的トラブルを未然に防ぐ効果があります。
日常の中でできる健康維持と予防習慣
介護をできるだけ遅らせる、あるいは軽度で済ませるためには、日々の健康管理が欠かせません。
終活というと財産や書類の整理を思い浮かべがちですが、介護を必要とする時期を少しでも先送りにする「健康の準備」も立派な終活です。
食生活の改善や適度な運動、定期的な健康診断の受診など、基本的なことが一番の予防策になります。例えば、ウォーキングを習慣にしている方は、足腰の筋力維持により転倒リスクを下げられるというデータもあります。
さらに、フレイル(加齢による心身の虚弱)やサルコペニア(筋肉量の低下)を防ぐ意識を持つことも大切です。無理のない範囲で運動と栄養を意識すれば、介護の入り口を遅らせる可能性が高まります。
延命治療や介護方針を意思表示しておく大切さ
介護や医療の現場でしばしば問題となるのが、「本人の意思が分からない」まま家族が判断を迫られる場面です。
延命治療をどこまで希望するのか、在宅での介護を望むのか、それとも施設入所を希望するのか――こうした方針が明確であれば、ご家族の心理的負担は大きく軽減されます。
終活の一環として、医療や介護の希望を事前に意思表示しておくことはとても重要です。
エンディングノートに書き残す、家族と話し合って共有する、あるいは尊厳死宣言書や事前指示書といった正式な文書を用意する方法もあります。
これにより、ご本人の意思を尊重した介護が実現しやすくなるとともに、ご家族が「本当にこれで良かったのだろうか」と悩むことも少なくなります。
介護を見据えた終活の心構え
終活の準備というと、財産の整理や相続のことが真っ先に浮かぶかもしれません。
しかし、実際には「介護」という現実をどう受けとめるかが大きなテーマとなります。
介護は、誰にとっても他人事ではなく、ある日突然自分や家族に降りかかる可能性があるからです。
だからこそ、早い段階で心構えを持ち、「何を大切にしたいか」を整理しておくことが、安心につながります。ここでは、終活の中で介護を見据えて考えておきたい3つの視点をご紹介します。
“自分ごと”として介護を考えることから始める
介護は多くの人にとって「親や配偶者のためのもの」という「周りに迷惑をかけたくないから始める」イメージがありますが、実際には自分自身にも必ず関わってくるものです。
元気なうちは「まだ先のこと」と感じやすいですが、病気や事故は予測できず、早ければ50代、60代で介護が必要になる場合もあります。
終活を進める中で、「介護が必要になったとき、自分はどのように暮らしたいのか」を考えることは大切です。
在宅介護を希望するのか、施設に入るのか、どのようなサポートを望むのか-こうしたことを整理しておけば、いざという時に迷いが減り、ご家族も安心して対応できます。
介護を“自分ごと”として受けとめる姿勢こそが、終活を前向きに進める出発点だといえるでしょう。
家族や親族・知人と価値観を共有しておく大切さ
介護の方針を決める上で重要なのは、ご家族や身近な人と価値観を共有しておくことです。本人の希望が伝わらないまま、家族の間で意見の違いが生じ、結果的に関係性に負担がかかるケースは珍しくありません。
例えば「できる限り自宅で過ごしたい」と本人が望んでいたのに、家族は施設入所が良いと考えていた場合、準備不足だとその溝が深まってしまいます。終活の一環として、あらかじめ「自分はこう考えている」と言葉にしておくことは、介護の現場で迷いを減らす力になります。
また、価値観の共有は家族に限らず、親しい友人や信頼できる知人に伝えておくのも安心です。自分の意思を知る人が複数いるだけで、介護方針の判断がスムーズになります。
介護に必要なお金と時間を意識して準備する
介護は心の負担だけでなく、お金と時間の面でも大きな影響を与えます。介護保険があるとはいえ、自己負担がゼロになるわけではなく、在宅介護や施設利用には毎月数万円から十数万円の費用がかかる場合もあります。
さらに、介護する側も仕事や生活の時間を調整する必要があり、経済的にも精神的にも大きな負担となります。
そのため、「早い段階」の終活の中で「介護にどれくらいのお金と時間が必要か」を意識して準備することが大切です。
例えば、貯蓄や保険でどこまでカバーできるかを確認する、将来介護費用にあてる口座を分けておくといった工夫も有効です。また、ご家族に対して「介護は誰がどのように関わるか」を話し合っておくことも重要です。
こうした準備をしておけば、介護が始まったときに「どうしよう」と慌てるのではなく、あらかじめ描いていた方向性に沿って進めることができます。
まとめ:40代、50代から介護の準備を始めても遅くない
介護や終活の準備というと、「高齢になってから考えるもの」という印象を持つ方も多いですが、実際には40代や50代から少しずつ備えていくことが望ましいとされています。
早く始めることで選択肢が広がり、心身の余裕を持ちながら準備ができるからです。
逆に「もう遅いのでは」と思う方もいますが、その段階からでも十分に対応できることは数多くあります。ここでは、日常の習慣として続けられる準備や、気持ちの整理の大切さについて振り返ってみましょう。
将来の安心につながる終活+介護準備の習慣化
終活と介護の準備は、特別なイベントとして一度に片づけるものではなく、日常生活に組み込みながら習慣化していくことが大切です。
例えば、毎年、毎月月末や〇〇の祝日の日に「保険や資産の見直しをする」「エンディングノートを更新する」といったタイミングを決めておけば、無理なく続けられます。
また、介護に関する情報を少しずつ集めることも、未来の安心につながります。自治体の介護相談窓口や地域包括支援センターに足を運んで話を聞くだけでも、将来への具体的なイメージが湧きやすくなります。小さな一歩を積み重ねることで、終活と介護準備を両立した安心の仕組みを築くことができるのです。
40代、50代という年代は、働き盛りや子育ての責任が重なる時期でもありますが、その中で少しずつでも取り組むことが、後の自分やご家族を守ることにつながります。
気持ちの整理と将来の介護リスクと向き合う
介護の準備を考えるとき、実務的な手続きや費用面だけでなく、「気持ちの整理」も重要な要素になります。
介護に直面すると、多くの人が不安や迷いを抱えます。「どこまで家族に頼るのか」「どんな介護を受けたいのか」を考えるのは簡単ではありませんが、自分の思いを言葉にして残すことが、将来の安心に直結します。
さらに、将来の介護リスクを正面から受け止めることで、「健康維持のためにできることを増やそう」「介護が始まっても安心できるように整理しておこう」といった前向きな行動につながります。終活を通して自分の人生を振り返り、介護を含めたこれからの暮らし方を見直すことは、心の整理にもなるのです。
介護の準備は、決して悲観的な作業ではありません。むしろ「これからの暮らしをどう安心して楽しむか」を考える前向きな取り組みです。40代や50代からでも遅くありません。小さな行動を積み重ねて、将来の介護に備えた終活を始めてみませんか。
当社では、終活や介護に関する準備を安心して進められるようサポートを行っています。疑問や不安を感じられた際には、どうぞお気軽に当社へご相談ください。