【おひとりさま専用】デジタル終活が必須な単身・独身ならではの対策・始め方

皆さんこんにちは。

本日は本当に避けたい「デジタル終活のトラブル事例」について実際の体験談をもとに解説をしていきます。

本記事がおすすめな方
  • 単身・独身で生活しているが「デジタル終活」と聞いて何をすることか頭にすぐ浮かばない方
  • スマホやnetflix、アマゾンプライムといったサブスクを最後にどうするか決めていない人
  • デジタル終活と聞いて準備が100%できていると言い切れない人

おひとりさまにこそ「デジタル終活」が必要な理由

様々な背景や理由で「一人暮らし」をしている人が年々増えているなか、人生の終盤をどのように迎えるかは大切なテーマとなっています。

なかでも、スマホやパソコンを使いこなす現代の生活では「デジタル終活」という新しい視点での終活も注目されています。

とりわけ、ご家族が近くにいない、もしくはいないという「おひとりさま」にとっては、自分のデジタル資産や個人情報の管理が、死後のトラブルを防ぐために必要不可欠なものとなってきています。

では、なぜおひとりさまに「デジタル終活」が強く求められているのでしょうか。

この章では、デジタル終活が単身・独身の方にとってなぜ特に重要なのかを3つの視点から掘り下げていきます。「まだ先の話」と思われがちな話題だからこそ、早い段階から備えておくことの意味を、一緒に考えていきましょう。

ちなみにこの記事では単身で暮らす方・配偶者はいるがおひとりで暮らしている方、息子娘はいるが離れて暮らしていてあまり連絡とれていない方を「おひとりさま」と呼称させていただきます。


家族がいないからこそ、デジタル遺産の行方が問題に

おひとりさまにとって最大の課題の一つが「万が一のときに、自分のデジタル遺産を誰が管理・処理するのか」という問題です。

ここで言う「デジタル遺産」とは、スマホやパソコンに保存されている写真やメール、クラウドに預けた文書、ネット銀行の口座、SNSアカウント、サブスクの契約など、インターネット上に存在するあらゆる資産や情報を指します。

一般的に、こうした情報は相続人が手続きを行うことで整理されますが、おひとりさまの場合、その相続人がすぐに判明せず、放置されてしまうケースも少なくありません。特に「誰に伝えておくか」「何を残すか」という判断を自分で行わない限り、故人の意思が分からないまま、貴重な資産が失われる可能性すらあるのです。

たとえば、ネット銀行の口座に数百万円があったとしても、誰にも知られなければ引き出すことはできません。

SNSアカウントも放置されれば、悪意ある第三者に乗っ取られてしまう恐れもあります。これらは決して特殊な事例ではなく、デジタル終活を怠っていたことで発生してしまった実際のトラブルとして報告されているものです。

そのため、おひとりさまにとって「自分のデジタル遺産をどう引き継ぐか」という視点は非常に重要なテーマとなります。誰に何を託すかを早めに考えておくことで、余計な混乱や手続きの遅れを防ぐことができるのです。


スマホ・パソコンの中にある「個人情報」の放置リスク

スマホやパソコンは、もはや生活の一部と言える存在です。

日々の連絡先、スケジュール、写真、IDやパスワード、キャッシュレス決済の履歴など、あらゆる情報がここに集約されています。つまり、デジタル機器は「その人の人生そのもの」が詰まった場所と言っても過言ではありません。

しかし、その大切な情報を、もし自分の死後に誰も開けなかったとしたらどうでしょうか。おひとりさまの場合、こうした個人情報がずっと誰にも管理されずに放置されてしまうリスクがあるのです。

実際、「スマホがロックされていて、何のアカウントを持っていたのか、何を利用していたのかすら分からなかった」という遺族の声は少なくありません。特に単身者の場合、日頃からデジタル情報を共有する機会が少ないため、第三者に情報が伝わらず、結果としてトラブルに発展する可能性が高くなってしまいます。

このような背景からも、「デジタル終活」は単なるデータ整理ではなく、自分の人生を安全かつ尊重された形で終えるための準備と言えるでしょう。おひとりさまこそ、どこに何の情報があるのかをきちんと記録しておくことが、トラブル防止に直結する大切なアクションなのです。

認知症になる前までの対策が重要(早めがベスト)

デジタル終活というと、「まだ若いし元気だから大丈夫」と思われがちですが、実際には“元気な今だからこそ始めるべき”という声が専門家のあいだでも広がっています。

特に、おひとりさまにとっては、体調が急変したときに頼れる身内がすぐそばにいないことも多く、情報の引き継ぎや意思の伝達がスムーズにいかないことがあります。

さらに懸念されているのが、認知症の発症リスクです。

認知症が進行してしまうと、自分が何を持っていたか、どのサービスを契約していたかを正確に伝えるのが難しくなりますし死後事務委任契約や任意後見契約・相続手続きなどがご自身の意思で行うことが困難になります。(なのであらゆる手続きというのは「認知症になる前」というのが推奨されています。)

その結果、貴重なデジタル資産が宙に浮いてしまうこともあるのです。

2023年に厚生労働省が発表した推計によると、65歳以上の認知症有病者数は約600万人に達しており、今後も増加が見込まれています。つまり、誰にとっても無関係ではないテーマであり、特におひとりさまの場合、「あとでやろう」では間に合わないケースもあるということです。

だからこそ、まだ意識がしっかりしている今のうちに、自分のデジタル資産やアカウントの管理方法、引き継ぎ先などを整理しておくことが望ましいとされています。デジタル終活の「始め方」は後半で詳しくご紹介しますが、まずは「備えの意識」を持つことが、何より大切な第一歩です。

知らないと損する!おひとりさまが直面しやすいデジタル終活トラブル

おひとりさまにとって「終活」とは、自分の人生を自分らしく締めくくるための前向きな準備のひとつです。

しかし、近年は「デジタル終活」という新たなテーマが急速に注目を集めており、その背景には、誰もがスマートフォンやインターネットを日常的に使うようになったという現実があります。

特におひとりさまの場合、自分の死後にデジタル資産をどうするかを明確にしておかないと、想像以上のトラブルが起きてしまう可能性もあるのです。

この章では、実際に多くの単身者が直面しやすい「よくある3つのデジタルトラブル」についてご紹介します。

「そんなこと、私には関係ない」と感じる方ほど、ぜひ目を通していただきたい内容です。大切なのは自分の死後に困る人がいないからこそ、「迷惑をかけない」準備を早めにしておくことです。その第一歩として、どのようなリスクがあるのかを一緒に見ていきましょう。

放置されたSNSから悪用に使われてしまうことも

SNSは今や日常の一部であり、誰もが当たり前のように使っています。

しかし、もしそのアカウントが故人のものと知られず、放置されたままになっていたらどうなるでしょうか。実は、亡くなられた方のSNSアカウントが乗っ取られ、悪用されるという事例は少なくありません。

たとえばFacebookやInstagram、X(旧Twitter)などに登録されたままのアカウントが何者かに不正にアクセスされ、「怪しい広告投稿」や「なりすまし」に利用されるケースがあります。

こうした投稿が続くことで、故人の名誉が傷つけられてしまったり、知人に被害が及んでしまったりするリスクもあるのです。

また、SNSには個人的な写真や会話履歴など、プライバシー性の高い情報が多く含まれています。これらが第三者の手に渡ることで、知らぬ間に個人情報が拡散してしまうという事態も起こりえます。

おひとりさまの場合、定期的にアカウントの使用状況を確認したり、信頼できる人にパスワードの管理を託したりする習慣がなければ、こうしたリスクに気づく人が誰もいない状態になりかねません。

サブスクやネット銀行の自動引き落としが止められない(クレカ停止では止まらない)

意外と知られていないのが、サブスク(定期契約サービス)やネット銀行の引き落としが「クレジットカードの停止だけでは自動的に止まらない」ことがあるという点です。

これは、おひとりさまのデジタル終活において見落とされがちな大きな落とし穴のひとつです。

たとえば動画配信サービスのNetflixやAmazonプライム、音楽サービス、日用品などの定期便など、日常的に使っている定額サービスが死後もクレジットカードから引き落とされ続けるというケースがあります。

口座の残高がなくなりクレジットカード会社が一定期間で停止処理を行っても、それまでに発生した請求が親戚や相続人に送られてくる可能性があります。

特にネット銀行の場合は、通帳が存在しないため資産の存在に周囲が気づかず、長い間放置されてしまうこともあるのです。

ネット銀行に預金がある場合、きちんと手続きを踏まないと凍結されたまま引き出せなくなることもあるため注意が必要です。

このようなトラブルを未然に防ぐには、アカウント情報の一覧を整理し、信頼できる人へ引き継ぐ準備をしておくことが重要です。

おひとりさまこそ、サービスごとの契約状況を把握しておくことで、万が一のときに周囲がスムーズに対応できるようになります。

遠縁の親族へ請求が発生してしまうことも

おひとりさまの場合、親族とのつながりが希薄なことも多く、「自分が亡くなっても迷惑はかからない」と考えがちです。しかし実際には、法的な手続きのなかで“遠縁の親族”にまで連絡がいき、思わぬトラブルや請求が発生してしまうケースがあります。

たとえば、遺品整理業者が費用の支払いを求めてきたり、クレジットカード会社が未払いの残高を請求したりすることがあります。これらは「相続放棄」をすれば支払う義務はなくなりますが、それには期限内に家庭裁判所へ申し立てが必要であり、何より「その人が亡くなった」という事実すら知らされていなかった場合、放棄手続きのタイミングを逸してしまう可能性もあるのです。

また、役所などの行政機関が「推定相続人」に連絡を取る際も、住民票や戸籍をたどって遠方の親戚に通知が届くということもあります。突然の連絡に驚く方も多く、心理的な負担や手間のかかる対応を迫られてしまう可能性も考えられます。

こうした事態を防ぐためにも、事前にご自身でデジタル契約や財産状況を整理し、必要な情報を明示しておくことが望ましいとされています。

おひとりさまが行うデジタル終活の始め方として、まずは「迷惑をかけない仕組みづくり」から始めてみるのもよいかもしれません。

おひとりさまが押さえるべきデジタル終活の始め方

デジタル終活は、思っているよりも複雑で専門的な作業ではありません。特におひとりさまの場合、「誰かに頼れる」前提がない分、手順を明確にして一つひとつ進めていくことが大切です。

自分の意思で自分のデジタル資産を管理できる今だからこそ、準備を始める意味があります。

この章では、おひとりさまでも無理なく取り組めるデジタル終活の始め方についてご紹介します。

いずれも「今すぐ」できることばかりです。少しずつで構いませんので、手を動かしておくと、いざというときに周囲に迷惑をかけずに済むだけでなく、自分自身も安心感を得ることができます。


まずはアカウントとID・パスワードの棚卸しから

「デジタル終活の第一歩は?」と聞かれたとき、多くの専門家がまず挙げるのが「アカウント情報の整理」です。現代は、生活のあらゆる場面でIDとパスワードが必要とされる時代。SNS、メール、ネット銀行、各種サブスクなど、その数は年齢を重ねるごとに増えていく傾向にあります。

おひとりさまの場合、この情報を整理せずにお亡くなりになった場合、誰にもアクセスされずに放置される可能性が高まります。たとえば、ネット銀行の口座に資金があっても、それに気づく人がいなければ、事実上「存在しないもの」となってしまうこともあり得ます。

まずは、ご自身が現在使っているサービスを一覧にしてみましょう。手書きでもメモでも構いません。ID、登録メールアドレス、パスワードのヒント、2段階認証の設定の有無などを書き出しておくと、後から見直す際にも便利です。

定期的に使っているものから、使っていないけれど解約していないサービスまで、網羅的にリストアップすることが重要です。デジタル終活のスタート地点として、この「棚卸し」は極めて大切なステップとなります。


重要な情報は「紙」でも残しておくと安心(更新も必須)

デジタルで管理している情報は便利ですが、万が一スマートフォンやパソコンが開けなくなったとき、その中身はすぐには取り出せません。

そこで、ID・パスワードや重要なアカウント情報などは、必要に応じて「紙」にも残しておくことがすすめられています。

「紙に残す」というと、一見アナログに感じるかもしれませんが、実際には非常に有効です。特におひとりさまの場合、「デジタル遺産」が分からないまま放置される事態を防ぐ意味でも、物理的に残る情報源は大切な備えになります。

もちろん、情報が外部に漏れることのないよう、保管場所には十分な注意が必要です。耐火金庫や鍵付きの引き出しにしまう、または、エンディングノートのような形で定期的に見直す仕組みをつくると安心です。

もう一つ大事な点は「更新」です。パスワードはセキュリティの観点から定期的に変更されることもあります。古い情報が記載されたままだと、せっかく準備しても意味がなくなってしまうことがありますので、「半年に一度見直す」など、ご自身の生活リズムに合わせたルールを決めておくとよいでしょう。

デジタル終活の始め方としては、「紙とデジタルの併用管理」がバランスの取れた選択肢のひとつと考えられています。


信頼できる第三者をあらかじめ決めておく

おひとりさまにとって、最も重要な準備のひとつが「信頼できる引き継ぎ先の設定」です。これは、物理的な財産の相続と同様に、デジタル終活においても欠かせない視点です。

具体的には「自分のデジタル情報を誰に伝えるか」「その情報をどう渡すか」を決めておくことが大切です。たとえば、信頼できる友人や、長年付き合いのある行政書士などが候補となります。また、エンディングノートに「この人に見てほしい」と明記するのも一つの手です。

最近では「デジタル遺品整理」をしてくれる専門家や業者も増えており、そうしたプロに相談して、あらかじめ体制を整えておく方もいらっしゃいます。もちろん、お金をかけずに進める場合は、紙のリストに「この情報は〇〇さんへ」と一筆添えておくだけでも十分に効果があります。

重要なのは、「誰にも伝えず、誰にも託していない」状態を避けることです。仮に突然倒れたり、認知機能が低下してしまった場合、それ以降の手続きは格段に難しくなってしまいます。

おひとりさまのデジタル終活は、自分の人生をきちんと自分の手でまとめるという意味でも、第三者とのつながりをどう築いておくかが大きなカギとなります。無理のない範囲で、信頼できる人との関係を築いておくと、もしものときにも安心です。

おひとりさま向け|デジタル終活で候補に入れたい対策方法

「もしものときに備えて、何をしておけば安心なのか」。特におひとりさまの方にとって、デジタル終活は単なる情報整理ではなく、人生を締めくくるための大切な準備です。ただ、何から始めたら良いのか、どういった方法を選べば良いのか、迷われる方も少なくありません。

この章では、おひとりさまのデジタル終活において、実際に選択肢として検討しておきたい具体的な対策方法をご紹介します。いずれも、特別な知識がなくても始められるものばかりです。早い段階から候補として意識しておくことで、より自分らしい終活が実現しやすくなります。

エンディングノートにデジタル情報を記録する方法

エンディングノートは医療や介護、財産・資産の希望を書き記すものとして知られていますが、最近では「デジタル情報」も記載する項目が加わりつつあります。

たとえば、SNSアカウントの情報、ネット銀行のログインID、契約中のサブスクリプションなどを記録しておくことで、もしものときに第三者がスムーズに把握できるようになります。

特におひとりさまの場合、これらの情報が誰にも知られないまま放置されてしまう可能性が高いため、紙の形で残しておくエンディングノートは有効な対策手段のひとつと考えられています。

記載内容としては、次のようなものが基本になります。

  • 使用しているサービス名(例:LINE、Facebook、楽天銀行など)
  • ログイン方法(ID、メールアドレスなど)
  • パスワードのヒントや管理方法(例:別紙、クラウドメモの場所)

注意点としては、「情報の更新が必要」ということです。アカウントの数やパスワードは変化しやすいため、半年〜1年に一度は見直しを行うことが望ましいとされています。

デジタル終活の始め方として、まずはエンディングノートに「書くこと」から始めてみる。小さな一歩ですが、その積み重ねが大きな安心につながっていきます。

専門家・行政書士に相談するという選択肢

「自分だけではうまく整理できそうにない」「法律的なことに不安がある」という方にとって、行政書士など専門家への相談は非常に有効な方法のひとつです。特に近年は、デジタル終活に特化した支援を行う行政書士や、相続手続きを専門とする士業の方も増えてきています。

たとえば、遺言書を作成する際に、クラウド上の資産やアカウントの扱いについてアドバイスをもらうこともできますし、「誰に、どのように引き継ぐか」を明文化することも可能です。

こうした書面は、残された人たちが迷わずに対応するための重要な手がかりとなります。

また、専門家は「あなたにとって適した始め方」を一緒に考えてくれる存在でもあります。自分だけでは見落としがちなリスクや、対策の抜け漏れを防ぐという意味でも、早めに一度相談してみる価値はあるでしょう。

特におひとりさまの場合、家族に頼らずに終活を進める必要があるため、プロと連携して進めることで、確実性と安心感を得やすくなります。もちろん、費用面の不安がある方も多いと思いますが、初回相談を無料で行っている事務所もあるため、情報収集から始めてみるのもよいでしょう。

デジタル資産専用のクラウドサービスの活用法

最近注目されているのが、「デジタル遺産管理専用のクラウドサービス」です。これは、パスワードや資産情報をオンライン上に安全に保管しておく仕組みで、必要に応じて「信頼できる人」に引き継ぐ設定が可能なものもあります。

たとえば、「デジタル資産マネージャー」や「デジタル遺言アプリ」などが代表的な例です。

これらのサービスは、2段階認証や暗号化機能を備えており、セキュリティ面でも一定の安全性が確保されています。登録した情報には、契約しているサブスクリプション、ネット証券、ネット銀行の情報などをまとめて保存でき、日常のメンテナンスも簡単です。

また、一部のサービスでは「死亡時に通知を送る設定」や「弁護士・家族の登録」を行うこともできるため、おひとりさまのデジタル終活にとっては非常に相性が良いツールだと考えられています。

ただし、サービスによって機能や運営会社の信頼性はさまざまです。選ぶ際には、評判や実績、退会・削除のしやすさまで含めて比較検討することが大切です。

デジタル終活の始め方として、こうしたツールの力を上手に借りることで、無理なく・効率よく準備を進めていくことが重要です。

まとめ|おひとりさまこそ、自分のために「始める終活」

デジタル社会が進む現代において、終活という言葉の意味も大きく変わりつつあります。

特におひとりさまにとっては、誰かに託す前提ではなく「自分で自分の人生を締めくくるための準備」が大きな意味を持つようになりました。

財産や相続といった形式的な話だけでなく、スマホの中にある思い出、SNSでつながっている人間関係、サブスク契約など、見えにくい部分までしっかり整えておくことは、自分自身が最期まで安心して過ごすための土台とも言えるでしょう。

この章では、デジタル終活を“誰かのため”ではなく“自分のため”に行うという考え方、そしてその準備が心の安心感につながるという点について、改めてご紹介します。

“誰かのため”ではなく“自分のため”のデジタル終活

「お子さんがいないから」「家族がいないから」といった理由で、終活は自分には関係ないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし実際には、デジタル終活はおひとりさまにとってこそ、より「自分らしい人生の締めくくり」を実現するための重要なアクションになります。

たとえば、誰にも見られたくないプライベートな情報や記録がそのままスマホやクラウドに残っているとしたらどうでしょうか。それらを整理しておくことは、他人の目を気にするというより、「自分の生き方を自分で管理する」ための行動とも言えます。

また、自分の死後、誰かに迷惑をかけたくないという気持ちも、終活のきっかけになり得ます。

ただ、それは「相手のためにやること」ではなく、「今の自分の不安や心配を減らすためにやること」なのです。実際、内閣府の調査(令和元年度高齢社会白書)によると、60代以上の単身者のうち約6割が「死後の整理を誰にも頼めないことに不安を感じている」と回答しています。こうした不安を減らすためにこそ、早めの備えが役立ちます。

デジタル終活を始め方がわからないという方も、まずは小さな一歩からで大丈夫です。アカウントの棚卸し、エンディングノートへの記録、信頼できる人への相談など、できることから始めてみてください。

備えがあれば、最期まで安心して自分らしく生きられる

終活というと「最期の準備」というイメージが強く、気持ち的に後回しにしてしまう方も少なくありません。しかし、現代のおひとりさまにとっての終活は、「最後に向けた準備」というよりも、「今を安心して暮らすための備え」と言い換えることができるのではないでしょうか。

たとえば、ネットバンキングや電子マネーの情報が整理されていれば、日々の生活に無駄な不安を抱かずに済みます。写真やメモ、SNSの記録を安全な形で保管できていれば、自分の人生の記録を大切に残すこともできます。そして、もしものときに備えて準備が整っているという事実は、日々をより前向きに、自分らしく生きるための支えにもなります。

もちろん、完璧を目指す必要はありません。まずは知り、少しずつ手をつけていくことで十分です。特にデジタル終活の始め方は人それぞれで、「絶対にこうしなければならない」という正解はありません。だからこそ、今の自分にとって何が必要かを考え、少しずつ形にしていくことが大切です。

最後に、迷ったときや不安があるときには、専門家への相談も視野に入れてください。行政書士や終活アドバイザーといったプロの手を借りることで、より安心して準備を進めることができます。

「自分の人生を、自分らしく締めくくる」。そのために、今日からできる小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。どんな人生にも、その人だけの物語があります。デジタル終活は、その物語の最後の一章を、丁寧に、自分の手でつづるための大切な手段のひとつです。